神殺しのクロノスタシスⅣ

他の人を代わりに愛することがリリス出来なくても、せめて時間が経てば。

時間薬が、僕を癒やしてくれるかもしれないと思いました。

淡い期待ですよね。

でも、その時間薬は…未だに効いていません。

何百年と経った今でも、何の効果もない。

僕の時間は、いつまでも止まったままだ。

リリスがいなくなったあの日から、僕は一歩も前に進めていない。

前を向くことすら出来てない。

どれだけ時間が経っても、僕が癒やされることは決してない。

まだ時間が足りないんですかね?

何百年ぐらいじゃ足りなくて、何千年、何万年と経てば、傷が癒えることがあるんでしょうか。

日を追うごとに増していったこの悲しみが、孤独が、癒やされることがあったんでしょうか。

無理です。

どれだけ時間が経っても、僕は癒やされない。

リリスを失った悲しみが、癒えることは決してない。

その前に、僕の心が壊れてしまった。

時間は僕を癒やすものではなく、むしろリリスがいない悲しみを、より増大させるだけでした。

本当に弱いんです、僕。

リリスがいなきゃ生きていけない。だからリリスがいなくなって、僕は壊れた。

リリスのいない世界は…僕にとって、生きる価値のない世界だった。

故に、僕は死に場所を求めた。

死ぬことによってしか、最早僕が救われる術はなかった。

何も見えませんでした。何も聞こえませんでした。

自分が死ぬこと以外、何も考えられませんでした。

ただひたすら、死ぬことに焦がれる日々でした。

死に盲目になった僕は、自分が死ぬ為なら、他の誰を傷つけても構わないと思っていた。

いや…そんなことすら、考えていなかったのかも。

ただ淡々と…戦場で、敵を捌いていた頃と同じだった。

自分のことがどうでも良いのに…他人のことなんて、気にかけられるはずがない。

あなたと違って…僕は弱いですからね。

自分が殺してもらう為なら…自分が死ぬ為なら…誰が不幸になろうとも、知ったことではなかった。

その為に、いくつも罪を犯した。

あなたも知ってますよね。

こんなことを言ったら、あなたは不快に思うでしょうけど。

正直、僕は自分がどんな罪を犯したのか、全部は覚えてないんです。

あなたとのことは、確かに覚えてます。

でもそれ以外は…全部記憶していません。

何でかと言うと…それは…。…お前は今まで食べたパンの数を覚えてるのか、って話でして…。

自分が死ぬという…その目的の為に犠牲になった人のことなんて、僕は覚えちゃいなかった。

クソ野郎ですよね。我ながら、本当にそう思います。