その後、基地に戻った後。
味方は歓喜していた。
珍しく、この地獄みたいな戦場で朗報があがったのだ。
このときのリリスの戦闘で、敵部隊に相当のダメージを与えたのは間違いなかった。
これまでの戦闘で、最も戦果をあげたのだ。そりゃ浮かれもする。
特に、リリスが敵を蹴散らしてくれたお陰で撤退することが出来た魔導師は、感謝感激していた。
リリスを女神だと褒めそやし、軍神として讃えた。
魔導師陣営の誰もが、リリスを強大な戦力として認識した。
皆がリリスを褒め称えたけれど、当のリリスは少しも嬉しそうではなかった。
むしろ、女神だと褒められることに、嫌悪すら感じているようだった。
初動の撤退戦が無事に終わり、味方も野戦病院に収容して一息ついて。
ようやくリリスと二人きりになったとき、リリスは浮かない顔で呟いた。
「…怖かった?」
「…え?」
怖い?
戦場が、ってことか?
戦場は、そりゃ怖かったけど…。
「私のこと、怖かった?」
…リリスのことが?
「…怖かったよね。あんな…大勢人を殺すところを見せて…」
「…」
「見せたくなかったなぁ、ナジュ君に…。私のあんなところ…」
リリスは、自分が冥界の女王として、魔物として強大な力を使う様を僕に見せたことを…悔いているのだ。
乙女心、って奴ですね。
だから僕は、リリスの為にこう言った。
せめて彼女の心を慰められるように。
「…格好良かったですよ」
本当は、格好良いとは思ってなかった。
かと言って、怖いとも思ってなかった。
初めての戦場に足が竦んで、何も考えられなかった。
鬼神のごとく戦場を駆け回るリリスを、口を開いて見つめていただけだ。
情けないことにな。
それが、僕の記念すべき初陣だったのだ。
とはいえ。
リリスが戦う姿を、ちゃんと見ていたとしても…僕がリリスに恐怖を感じることはなかっただろう。
その後もリリスと、ずっと戦っていたけど…その間、リリスを怖いとは思わなかったし。
何故だろう。不思議と僕はリリスを恐れることはなかったのだ。
リリスは何があっても自分の味方だという、強い確信があったからだろうか?
「助けてくれて、ありがとうございました」
僕がボーッとしている間に、リリスが戦ってくれたんだもんな。
お陰で僕も、味方も、傷一つなく撤退することが出来た。
「私のこと…嫌いにならないでね、ナジュ君」
リリスは、有り得ないことを口にした。
「あなたのどんな姿を見たって、僕はリリスを嫌いになったりはしませんよ」
それだけは断言出来る。
僕がリリスを嫌いになることは、決してない。
ちなみにその誓いは、未だに続いている。
一途でしょう?僕。
「…そっか。うん…ありがとう、ナジュ君」
そう言って。
リリスはこの戦場に来てから、初めて微笑んだ。
味方は歓喜していた。
珍しく、この地獄みたいな戦場で朗報があがったのだ。
このときのリリスの戦闘で、敵部隊に相当のダメージを与えたのは間違いなかった。
これまでの戦闘で、最も戦果をあげたのだ。そりゃ浮かれもする。
特に、リリスが敵を蹴散らしてくれたお陰で撤退することが出来た魔導師は、感謝感激していた。
リリスを女神だと褒めそやし、軍神として讃えた。
魔導師陣営の誰もが、リリスを強大な戦力として認識した。
皆がリリスを褒め称えたけれど、当のリリスは少しも嬉しそうではなかった。
むしろ、女神だと褒められることに、嫌悪すら感じているようだった。
初動の撤退戦が無事に終わり、味方も野戦病院に収容して一息ついて。
ようやくリリスと二人きりになったとき、リリスは浮かない顔で呟いた。
「…怖かった?」
「…え?」
怖い?
戦場が、ってことか?
戦場は、そりゃ怖かったけど…。
「私のこと、怖かった?」
…リリスのことが?
「…怖かったよね。あんな…大勢人を殺すところを見せて…」
「…」
「見せたくなかったなぁ、ナジュ君に…。私のあんなところ…」
リリスは、自分が冥界の女王として、魔物として強大な力を使う様を僕に見せたことを…悔いているのだ。
乙女心、って奴ですね。
だから僕は、リリスの為にこう言った。
せめて彼女の心を慰められるように。
「…格好良かったですよ」
本当は、格好良いとは思ってなかった。
かと言って、怖いとも思ってなかった。
初めての戦場に足が竦んで、何も考えられなかった。
鬼神のごとく戦場を駆け回るリリスを、口を開いて見つめていただけだ。
情けないことにな。
それが、僕の記念すべき初陣だったのだ。
とはいえ。
リリスが戦う姿を、ちゃんと見ていたとしても…僕がリリスに恐怖を感じることはなかっただろう。
その後もリリスと、ずっと戦っていたけど…その間、リリスを怖いとは思わなかったし。
何故だろう。不思議と僕はリリスを恐れることはなかったのだ。
リリスは何があっても自分の味方だという、強い確信があったからだろうか?
「助けてくれて、ありがとうございました」
僕がボーッとしている間に、リリスが戦ってくれたんだもんな。
お陰で僕も、味方も、傷一つなく撤退することが出来た。
「私のこと…嫌いにならないでね、ナジュ君」
リリスは、有り得ないことを口にした。
「あなたのどんな姿を見たって、僕はリリスを嫌いになったりはしませんよ」
それだけは断言出来る。
僕がリリスを嫌いになることは、決してない。
ちなみにその誓いは、未だに続いている。
一途でしょう?僕。
「…そっか。うん…ありがとう、ナジュ君」
そう言って。
リリスはこの戦場に来てから、初めて微笑んだ。


