そもそもリリスって、そんなに好戦的な子じゃないんですよ。元々は。
強い力を持ってはいたけど、その力を、他人を傷つける為に使うことは、ほとんどと言って良いほどなかった。
強過ぎるが故に、その力を無闇に振るいたくなかったんだと思います。
それなのに、リリスは戦うことを受け入れた。
しかも、相手は魔法も使えない、非魔導師の集団。
リリスが戦場に降臨したら、それこそ虐殺が起きる。
リリスにそんなことはさせたくなかった。
でも、他にどうすることも出来なかった。
僕に出来たのは、そう…。情けない言葉で、リリスを励ますことだけだった。
「…大丈夫?ナジュ君」
気遣わなければならないのは、僕の方なのに。
リリスを戦わせたくないと上官に直訴して、ぶん殴られた後…リリスは真っ先に、僕にそう声をかけた。
「…僕なんかどうでも良いですよ…」
殴られたから何だって言うんだ。これからリリスは酷い戦場で、死ねない身体で酷使されるのに。
リリスの方が、ずっと心配だ。
しかし。
「あんなこと言っちゃ駄目だよ。上の人に逆らったら駄目。ナジュ君が怒られて傷つけられるなんて、私耐えられない」
リリスが心配するのは、あくまで僕のことだった。
何を言ってるんだか。
「耐えられないのは、僕だって同じですよ…!リリスが苦しみながら戦わされるのを見て、耐えられないのは僕の方ですよ!」
八つ当たりである。
まぁ、このときは僕もガキだったということで。
「…」
リリスは、傷ついたような顔をして目を逸らした。
そこでようやく、自分が八つ当たりしていることに気づいた。
幼稚だ。
「…っ、ごめんなさい…。責める、つもりじゃ…」
イライラして、不満をぶつけ合ってる暇も余裕もない。
既に、最前線への転身命令は下っているのた。
すぐに、準備を始めなければならなかった。
だけど僕は…どうしても、リリスと言葉を交わさずにはいられなかった。
このまま、何も言わずに戦場に行くことは出来なかった。
「リリス…ごめんなさい。僕のせいで…こんな、戦争に巻き込んでしまって…」
リリスは戦いたくないはずなのに。戦うことなんか望んでないのに。
それなのに僕は、リリスを便利な道具のように扱い、戦場に連れて行こうとしている。
とてつもなく重い罪だった。
それなのに、リリスは首を横に振った。
「ううん…ナジュ君のせいじゃないよ。ナジュ君が始めた訳じゃないじゃない」
…それは、そうだけど。
「でも…僕と契約さえしなければ、こんなことには…」
「駄目だよ、ナジュ君。それ以上は駄目」
そう言って、リリスは僕を黙らせた。
「君と契約しなかったら、私は今頃、孤独のあまり…生きたまま死んでた。今こうして私が生きているのは…君と契約したから。だから、どんなことになっても、君と契約したことを後悔したりなんかしないよ」
…その言葉が。
この後、長い間…僕を支えることになる。
「大丈夫だよ、ナジュ君…。君は私が守ってあげるから。何も心配しないで。君を絶対、死なせたりはしないから」
リリスはそう言って笑った。
本当は嫌なはずなのに。戦場になんか行きたくないはずなのに。
リリスは僕を心配させない為に、笑ってみせたのだ。
なんともまぁ、情けない話だ。
僕はリリスを支え、守り、力になるどころか…。
リリスに支えられ、守られ、頼りっぱなしになってしまうのだから。
男としても、人としても…こんなに自分を情けなく思ったことはなかった。
こんなに、自分の無力を痛感したことはなかった。
強い力を持ってはいたけど、その力を、他人を傷つける為に使うことは、ほとんどと言って良いほどなかった。
強過ぎるが故に、その力を無闇に振るいたくなかったんだと思います。
それなのに、リリスは戦うことを受け入れた。
しかも、相手は魔法も使えない、非魔導師の集団。
リリスが戦場に降臨したら、それこそ虐殺が起きる。
リリスにそんなことはさせたくなかった。
でも、他にどうすることも出来なかった。
僕に出来たのは、そう…。情けない言葉で、リリスを励ますことだけだった。
「…大丈夫?ナジュ君」
気遣わなければならないのは、僕の方なのに。
リリスを戦わせたくないと上官に直訴して、ぶん殴られた後…リリスは真っ先に、僕にそう声をかけた。
「…僕なんかどうでも良いですよ…」
殴られたから何だって言うんだ。これからリリスは酷い戦場で、死ねない身体で酷使されるのに。
リリスの方が、ずっと心配だ。
しかし。
「あんなこと言っちゃ駄目だよ。上の人に逆らったら駄目。ナジュ君が怒られて傷つけられるなんて、私耐えられない」
リリスが心配するのは、あくまで僕のことだった。
何を言ってるんだか。
「耐えられないのは、僕だって同じですよ…!リリスが苦しみながら戦わされるのを見て、耐えられないのは僕の方ですよ!」
八つ当たりである。
まぁ、このときは僕もガキだったということで。
「…」
リリスは、傷ついたような顔をして目を逸らした。
そこでようやく、自分が八つ当たりしていることに気づいた。
幼稚だ。
「…っ、ごめんなさい…。責める、つもりじゃ…」
イライラして、不満をぶつけ合ってる暇も余裕もない。
既に、最前線への転身命令は下っているのた。
すぐに、準備を始めなければならなかった。
だけど僕は…どうしても、リリスと言葉を交わさずにはいられなかった。
このまま、何も言わずに戦場に行くことは出来なかった。
「リリス…ごめんなさい。僕のせいで…こんな、戦争に巻き込んでしまって…」
リリスは戦いたくないはずなのに。戦うことなんか望んでないのに。
それなのに僕は、リリスを便利な道具のように扱い、戦場に連れて行こうとしている。
とてつもなく重い罪だった。
それなのに、リリスは首を横に振った。
「ううん…ナジュ君のせいじゃないよ。ナジュ君が始めた訳じゃないじゃない」
…それは、そうだけど。
「でも…僕と契約さえしなければ、こんなことには…」
「駄目だよ、ナジュ君。それ以上は駄目」
そう言って、リリスは僕を黙らせた。
「君と契約しなかったら、私は今頃、孤独のあまり…生きたまま死んでた。今こうして私が生きているのは…君と契約したから。だから、どんなことになっても、君と契約したことを後悔したりなんかしないよ」
…その言葉が。
この後、長い間…僕を支えることになる。
「大丈夫だよ、ナジュ君…。君は私が守ってあげるから。何も心配しないで。君を絶対、死なせたりはしないから」
リリスはそう言って笑った。
本当は嫌なはずなのに。戦場になんか行きたくないはずなのに。
リリスは僕を心配させない為に、笑ってみせたのだ。
なんともまぁ、情けない話だ。
僕はリリスを支え、守り、力になるどころか…。
リリスに支えられ、守られ、頼りっぱなしになってしまうのだから。
男としても、人としても…こんなに自分を情けなく思ったことはなかった。
こんなに、自分の無力を痛感したことはなかった。


