神殺しのクロノスタシスⅣ

ともあれ。

捕まえた捕虜に情報を履かせるのが、僕の仕事だったと説明しましたよね。

嫌な役割…のように思うかもしれないけど、僕はこの仕事、嫌いじゃなかったんです。

別に尋問するのが好きだった訳ではなく。

ただ、他の仕事よりマシだったから。

徴兵はしたものの、まだ少年だった僕を、いくら魔物と契約しているとはいえ最前線に出すのは気が引けたのか。

僕は専ら、後方で尋問官の仕事をしていた。

尋問官と言っても、僕の場合は読心魔法のお陰で、殴ったり小突いたり拷問したり、残酷なことをする必要は一切なかった。

ただ見るだけで、相手の心の中が読めるんだから。

どんなに口の堅い兵士でも、心の中までは隠せない。

敵は、当然読心魔法の存在なんて知らないので。

何も喋っていないのに、僕が機密情報をぺらぺら言い当てていくものだから、びっくりしていた。

同時に、「化け物」、「悪魔」としょっちゅう罵られましたよ。

気味悪かったんでしょうね。少年に心の中を見透かされて。

敵どころか、味方からも気味悪がられることはよくあった。

読心魔法は、今でもあの世界でも、凄く珍しい魔法ですからね。

そりゃ気味も悪いでしょう。

僕だって良い気はしなかったけど、でも最前線に出されるよりはマシだから。

リリスを危険に晒すよりはマシだから。

そう思って、しばらくの間は尋問官をやっていた。

あのまま後方で、ずっと前尋問官の仕事だけやれていたら…僕の戦争は、楽だったでしょうね。

あの後、僕の身に起きたことを思えば…あの頃は、まだ随分と幸せだった。

僕の傍には常にリリスがいて、周囲からいくら気味悪がられていても、リリスだけはずっと、僕の味方でいてくれた。

青春真っ盛りの年齢だったのに、僕の生まれた世界では、青春らしい青春を送ることは許されなかった。

戦場に青春を求めるのが、そもそもの間違い。

そんな中、リリスと話しているときだけは…僕は、年相応の少年でいられた。

あのままでいられたら、どんなに良かっただろう。

僕が不死身になることもなかったかもしれない。

でも、軍隊に取られているのに、いつまでも戦わずに済むなんて、そんな贅沢は許されませんよね。

ある日いきなり…転身命令が来て。

僕は後方の基地から、最前線に送られることになった。

僕自身の読心魔法を活かす為…ではなく。

冥界の女王と謳われる魔物…リリスの戦力を宛にしての、命令でした。