神殺しのクロノスタシスⅣ

自慢じゃないですけど、僕って、結構な戦力だったんです。

そりゃあ、徴兵年齢にも達していないのに軍から直々に引き抜かれた身なんで?

それなりに、実力はあったとみなされてたんですが。

リリスという、冥界1の魔物と契約していること。これを抜きにしても、僕はかなり…重宝される軍人でした。

自慢じゃなくて、本当に。真面目な話で。

あの頃の僕は、今と違って不死身じゃなかった。

不死身になったのは、もっと後の話。

でもあの頃の僕には既に、読心魔法があった。

読心魔法は、リリスに授けられたものじゃなくて、僕自身が生まれながらに持っている魔法だった。

今もそうですが、あの世界でも、読心魔法はとても珍しい、特殊な魔法で。

そして、強力な魔法だった。

相手の考えていることが分かるんだから、当然と言えば当然か。

僕の当時の主な仕事は、捕虜の尋問でした。

言うまでもなく、分かるでしょう?

当時、捕虜を捕まえて尋問し、作戦の内容を吐かせるのは凄く大変なことだった。

お互い、両陣営への憎しみがあまりに深いせいで。

どんなに不利な戦況になっても、投降するとか、降参するってことは、まずなかった。

投降して捕虜になるくらいなら、舌を噛んで死んだ方がマシ、という価値観だった。

それに、どうせ捕虜になったって、国際条約に則って丁重に扱われる…なんてことはなかった。

笑止千万。

運悪く捕虜になったら、散々拷問されて、知っていることを全部吐かされて、その後殺される。

これが、両陣営共に通じる捕虜の常識だった。

魔導師陣営でも、非魔導師陣営でも、捕虜の扱いは共通だった。

だったら、いっそ捕まる前に玉砕した方が、出来るだけ苦しまずに死ねて楽ってもんです。

軍隊でも、捕虜になることは恥、という教育でしたしね。

誇り高い魔導師が、旧人類の非魔導師に降り、捕虜になるなんて。

この上ない不名誉で、末代まで笑い者にされる。

捕虜になるくらいなら自爆して死ね、って言われてた。

当時まだ少年だった僕にも、そういう教育をしてたんです。

今イーニシュフェルト魔導学院で、まがりなりにも教師をやってて。

あの歳の子供に「国の為、魔導師という種族の為に誇り高く戦って死ね」っていう教育をするというのが、どういうことか。

いかに狂っていたか、なんと恐ろしいことか…骨身に沁みて感じますよ。