神殺しのクロノスタシスⅣ

かと言って。

じゃあ魔導師陣営は人道的な戦争を行っていたかと言うと、それはまた別の話。

非魔導師を野蛮人と呼ぶなら、魔導師も同じく野蛮人と呼ばれるに相応しかった。

まさに、野蛮人と野蛮人の決戦ですね。

魔導師達は数で負けている訳だから、小賢しい非魔導師の集団を、まとめて薙ぎ払う必要がある。

一人一人ちまちま倒していく、なんて余裕はない。

そんなことをしていたら、あっという間に囲まれて袋叩きに遭う。

だから、魔力に物を言わせ、高火力の魔法をドカンと一発、爆弾でも落とすかのようにぶつける。

一撃で地面に風穴を開け、焼け跡は擂り鉢みたいに抉れていた。
 
その擂り鉢の周辺には、人間だったものの肉の破片が散らばっていた。

時には炎魔法で、火炎放射器さながらまとめて人間を焼肉にしたり。

時には水魔法で、濁流で人間を呑み込んで溺死させたり。

時には風魔法で、ハリケーンのように人間を巻き込んで細切れにしたり。

僕達魔導師陣営は、非魔導師の連中を野蛮人呼ばわりしていたけど。

非魔導師陣営もまた、魔導師を野蛮人だと罵っていた。

お互い様。やってることの残酷さは、どっこいどっこい。

あの世界は、僕らの今いる世界ほど魔導科学が発達していなかったから。

使う魔法はどれも原始的で、燃費も悪く、魔力に乏しい魔導師は長く戦うことが出来なかった。

元々魔導師は数で負けているし、魔導師陣営の方が不利か…と思われていたけど、そんなことはなく。

魔導師陣営が消耗するのと、同じくらいに非魔導師陣営もまた、激しく消耗していった。

彼らは数の優位こそ保っていたものの、魔導師には必要のない、兵站を常に整えておく必要があった。

非魔導師は食べなきゃ生きていけないし、その為には畑を耕す人がいて、家畜を飼う人も必要だ。

寿命も短く、兵隊になれる年齢層は限られている。

一方魔導師にはその必要がないから、魔導師の国では、子供以外の国民全員が兵隊になれる。

これも、戦力が互いに拮抗した原因の一つなのだ。

お互いにお互いより優れている点と、劣っている点があって。
 
その釣り合いが均一になってしまっているから、どちらかに軍配が上がるということがない。

従って出来上がったのは、終わりなき泥沼の戦争だった。