神殺しのクロノスタシスⅣ

あ、僕ですか?

僕は別に…。何度も言うように、僕は所属する国についてはどうでも良くて…。

リリスがいればそれで良いや、ってスタンスだったんで…。

でも、そうは行かないですよね。世間が戦争に騒いでるのに。

両陣営共に、お互いに対する憎しみを深めている状況で。

僕だけが平和でいられるはずがない。

僕が魔導師の国に辿り着いたときは、まだ小競り合い程度だったけど。

僕が…今のイーニシュフェルト魔導学院の生徒くらいの年齢になる頃には。

国内は、戦争一色でした。

非魔導師は野蛮人だから滅ぼせ、ってね。

野蛮人って、それは明らかに言い過ぎ…なんですが。

実は、非魔導師を野蛮人だと呼ぶ根拠は、ちゃんとあったんですよ。

というのも、魔導師と非魔導師の戦争って、凄く凄惨なんです。

戦争はいつでも何処でも悲惨ですけどね。

でも魔導師と非魔導師間の戦争って、見てて凄く残酷だったんです。

特に、非魔導師が魔導師と対敵したときはかなり悲惨だった。

当然ながら、魔法を使える魔導師に対して、魔法の力を借りられない非魔導師は圧倒的に不利。

そこで非魔導師は、魔導師に対抗し得る兵器として、火力に物を言わせた重火器を大量に生産した。

撃って撃って撃ちまくれ、って奴です。

非魔導師陣営が魔導師陣営に勝っているのは、資金力と数の優位だけだったんで。

それを武器にするしかなかった訳ですね。

あとは、特攻。

爆薬を大量に身体に巻き付けて、魔導師陣営に飛び込んでくる。

これが多かったせいで、魔導師陣営は非魔導師のことを、野蛮人呼ばわりしたんです。

いくら魔導師と言えども、爆薬を巻き付けた人間が飛びかかってきたら、そりゃ逃げ惑いもするでしょう。

おまけに、非魔導師陣営は武器の開発が早く、使っている爆弾も質が高かった。

一人の特攻で、運が良ければ、十人くらいの魔導師を道連れにすることが出来た。

数で負けている魔導師陣営としては、非常に厄介な攻撃である。

爆弾が直撃しなかったとしても、一度爆発すれば、広範囲に破片が飛び散って、それによって怪我をする魔導師が大勢いた。

おまけに非魔導師陣営は、毒を使った化学兵器まで開発し始めた。

これが使われ始めたのは、戦況が熾烈を極め、お互い形振り構わなくなってきた頃だった。

これまでは、爆発したら破片が飛び散るだけだったのに。

今度は、破片と一緒に、無味無臭の毒が広範囲に撒き散らされることになった。

いかに魔導師と言えども、毒は辛いですよね。

やってることが、『アメノミコト』と同じ。

僕も食らったことがあるけど、あの毒…。本当にキツかった。

僕が食らったのは、精々喉が焼けて、一週間くらい何も飲めない、喋れない状態が続くだけだったけど。

中には酷い毒を浴びて、皮膚が爛れて、人相変わってる人もいましたよ。

そんな攻撃を仕掛けてくるんだから、非魔導師が野蛮人と言われても否定は出来なかった。