神殺しのクロノスタシスⅣ

…で。

祖国を追い出された、各国の魔導師達がどうしたか。

どの国でも魔導師は嫌われて、追い出されて、居場所がなくて。

流浪の民となった魔導師達は、行く宛もなく路頭に迷う…。

…なんてことはなかった。

まぁ、中にはそういう人もいたと思うけど。

多くの魔導師は、祖国を追い出されたからといって、路頭に迷うことはなかった。

というのも、追い出された魔導師には、ちゃんと受け入れ先があったからだ。

それが、前述した魔導師の国だ。

皮肉なもので、追放された魔導師達は、魔導師の国が原因で追い出されたのに。

彼らの行き着いた先は、件の魔導師の国だったのだ。

魔導師の国は、祖国から追い出された魔導師達を積極的に受け入れた。

…あぁ、はい。国土はちゃんとあったんですよ。

その頃には、魔導師の国も治世が安定していて、祖国を追い出された魔導師達を受け入れることが出来たんです。

僕もそこに行ったんです。他に行く宛なかったですし。

多くの魔導師もまた、魔導師の国に集まった。

こうして、世界は二つに分かれた。

魔導師と、魔導師でない人。この二つの陣営に。

これだけなら、別に悪いことじゃないと僕は思います。

魔導師は魔導師で。魔導師じゃない人は魔導師じゃない人で。
 
それぞれ住み分けして、それぞれで居心地の良い国を造るなら。

それでお互い満足なら、別に良いじゃないですか。

と、思うのは単に、僕にはリリスがいたからかもしれないけど。

僕はリリスがいればそれで良くて、魔導師非魔導師論争には、全く興味がなかったから。

魔導師の国で、僕は細々と生きていた。

それで良かった。僕は。

でも、世の中はそうは行かなかった。

魔導師陣営も、非魔導師陣営も。

魔導師の国には、祖国を追い出された魔導師が大勢いて。

非魔導師の国にも、祖国を追い出された非魔導師が大勢いた。
 
先程述べた通り、魔導師の国を設立するに当たって、無理矢理土地をぶん取った訳ですから。

お互い、並々ならぬ因縁は持ってますよね。当たり前ですけど。

しかも、魔導師の国も、それで大人しくしていれば良いものを。

魔導師国では、魔導師こそ新人類であるという選民思想があるものだから。

不必要に非魔導師陣営を挑発するようなことをするし、言うし。

魔導師陣営を更に繁栄させる為に、侵略戦争もするし。

こうなってくると、非魔導師陣営も黙ってはいられない。

彼らは、魔導師によって自分達の土地をこれ以上侵略されないように、武器を持つようになった。

魔導師陣営と非魔導師陣営の溝は、更に深く広く、決して埋められないものになっていった。

こうして、両陣営の対立は段々と激化し、血で血を洗う戦争が巻き起こることになったんですね。