神殺しのクロノスタシスⅣ

とはいえ、これは僕の場合だ。

非魔導師の家族がいる人は、そう簡単には行かなかった。

世間で魔導師が嫌われていようが、家族にとっては、その魔導師が家族であることに変わりない。

どんなに差別されても、家族のもとから離れたくないという魔導師はたくさんいたし。

逆に、お願いだからこの人を追放しないでくれ、と魔導師の家族を庇う非魔導師も大勢いた。

彼らは自分達の家族を守ろうと、必死だった。

非魔導師の中でも、比較的穏健な人は、「何もそこまでしなくても…」と政府の政策を批難していた。

そういう人達は、「魔導師追放キャンペーン」が出てからしばらくたっても、祖国にしがみついていたが。

しかし、それも長くは続かなかった。

多くの非魔導師は、魔導師に対して非常に攻撃的だったし。

そんな魔導師を庇おうとする非魔導師も、槍玉に上げられるようになった。

魔導師の味方をするなら、お前も敵だ、とばかりに。

遂には、魔導師を庇うあまり「それならお前も出ていけ」と、魔導師と共に国内から追放されるようになった。

これがトドメだった。

魔導師を庇えば、非魔導師であっても追放される。

そうなったら、最早どんな事情があろうとも、魔導師を庇うことは出来なかった。
 
魔導師ならば、身一つで追い出されても何とか生きていける。

魔力のお陰で、飢えることはほぼないですからね。

でも非魔導師なら、そうは行かない。

こうして、それまで国内に留まっていた魔導師達も、自ら国外に出ていった。

家族を巻き込むことは出来ないから。

これ以上、家族が批難されることに耐えられなくて。

家族までもが、まとめて追放されることに耐えられなくて。

自ら血の涙を飲んで、家族に別れを告げて国外に出ていった。

こういう人は、本当に悲劇だと思う。

僕には縁がなくて、本当に良かった。

あのときほど、自分にまともな家族がいなくて良かった、と思ったことはない。