神殺しのクロノスタシスⅣ

とは言っても…ある日突然、は言い過ぎか。

その兆候は、かなり以前から見えていた。

僕とリリスの平穏とは裏腹に、僕の住んでいた世界に流れる空気は不穏だった。

思えば最初からそうだった。僕の生まれた世界、僕の生まれた国は。

僕が、初めてリリスと会った頃。

あの頃から、既に…世界は荒廃していた。

僕の生まれた世界は、今いるこの世界と違って、平穏とは程遠かった。

あの世界には、魔法の概念があった。魔法が使える魔導師がいて、魔導科学も…それなりに進んでいた。

こちらの世界ほどじゃないけど。

僕が今いるこの世界が、これほど魔導科学に発達しているのは、ひとえに。

この世界に、シルナ・エインリーがいるからに他ならない。

僕の生まれた世界は、魔導師の存在は認められていたものの…。こちらの世界と比べると、まだまだ未発達だった。

とはいえ、僕が今そう言えるのは、この世界を知っているからだ。

当時は自分のいる世界が普通だと思っていたし、この世界の魔導科学は最先端だ、と普通に思っていた。

僕は幼い頃から、リリスと契約していた。契約というものの意味するところを知らないうちから、リリスと契約していたのだ。

つまりかつての僕は、魔物と契約する、召喚魔導師だった訳だ。

聖魔騎士団魔導部隊にいる、吐月さんという人と同じだ。

まぁ僕は、吐月さんほど魔物に好かれる体質ではないが。

そんな僕がリリスと契約出来たのは、リリス曰く、「とても波長が合ったんだ」とのことだ。

僕は生まれたときから、リリスと相性バッチリだった訳だな。

リリスに会って初めて、僕の世界に色がついた。

世界が色鮮やかに見えて、何もかもが綺麗だった。美しかった。

リリスと一緒に見るもの、聞こえるもの、触れるもの…全てが愛おしくて、尊かった。

でも、そんな僕達とは裏腹に。

世界は、僕が大きくなるに連れて…どんどんと色をなくしていった。

何が起きたんだと思います?

簡単な話です。

…戦争ですよ。