神殺しのクロノスタシスⅣ

それから、感動的な出会いを果たした僕は…。

…あぁ、それは…。何でなんでしょうね?

リリスの方も、僕と同じく、行き場をなくして彷徨ってるようなものだったみたいで。

別に、僕に会う為にやって来た訳じゃなくて。

何か心を満たしてくれる人がいないか探していたら…僕を見つけた、みたいな。

そういう経緯だったそうです。僕に出会ったのは。

つまり、まさに運命の出会いだったんですね。

運命の赤い糸で結ばれていたって言うか。

出会うべくして出会った二人、と言うか…。

なんて美化して言ってるけど、まぁ、要するに偶然だったんです。

リリスは居場所を求めて、冥界と現世をふらふらしていて。

僕も僕で、自分の居場所がなくて、ふらふら彷徨っていたところを。

丁度行き場のない者同士が、寄り道の途中でばったり出くわした、って感じで…。

とはいえ、あのときは…本当に…。

何て言うか…僕の運命が変わる瞬間だったんですよ。

あの日から今日に至るまでの日々を覚えば、確かに運命変わりまくってますね。

僕も、リリスも。

あのとき僕が、あの公園にいなかったら。

あのときリリスが、あの公園に来なかったら。

きっと運命は、大きく変わっていただろう。

僕はきっと、不死身の身体になることはなかった。

リリスも、肉体を失うことはなかった。

従って…僕のせいで、命を奪われる人もいなかったでしょう。

僕自身も、僕に殺された人も、あんなに辛い運命を辿らずに済んだ。

そう思えば、僕はあの日、リリスに出会わなければ良かった。

それが正しいんでしょう。だから僕があの日リリスに出会ったのは、世界にとっては間違いで。

きっと僕にとっても、その方が良かった。

そうすれば…僕は…今頃、死に焦がれることもなく、さっさとこの世におさらば出来ていたんだろう。

それは、何度も考えた。

一人で死に場所を求めて、放浪の旅を続けていたときも。

今でも、一日に三回は考える。

でも、何度考えても。何回思い直してみても。

何度、あの日に戻れたとしても。

僕はきっと、リリスに会えたことを後悔したりはしない。

どんなに苦しくても、辛くても…あの日リリスに出会えたことだけは、全然後悔しないんです。

不思議ですよね。

とはいえ、考えてみれば仕方ないのかもしれない。

だって僕は…僕にあの日がなかったら。

リリスに出会ったあの日がなかったら、僕は死ぬどころか、生まれてさえいなかった。

あのまま一生生きることもなく、自分が生きていたことさえ分からず、朽ち果てて死んでいったでしょうから。

それって、生きていたと言えるんでしょうか。

心臓は動いていても、血は巡っていても。

心が死んでいたら、それは生きているとは言えない。

あの日僕はリリスに会って、心が生まれた。

だから、リリスに会ったことを後悔したりはしない。例え、どれほど重い罪を背負ったとしても…。