全く天音さんと来たら、お人好しにも程がある。

僕は天音さんの大切な人を、たくさん奪ってしまったというのに。

それはそれ、これはこれと言わんばかりに、普通に僕に接してくれる。

お前なんか視界に入れたくもないくらい嫌いだ、とか。そう言われても仕方ないのに。

天音さんの心の中を覗いてみても、僕に対する憎しみなんてものはないのだ。

不思議なほど、心の中が綺麗。

この人は、本当にお人好しだ。

で、僕みたいな…自分で言うのもなんだけど、捻くれた性格の人間が。

何でこんな人と仲良しだとか、友達だとか言われるんだか。

不釣り合いにも程がある。

が、天音さんはそんなことも気にせず、当たり前のように僕と接する。

まるで、仲良しのお友達のように。

僕にとっては、あまりにも慣れない。違和感すら覚える。

天音さんも、よく僕みたいな人間と仲良くしようと思うよなぁ。

こんな死にたがりの、つまらない人間と。

とても不思議だ。

天音さんだったら、もっと良い友人をいくらでも作れるだろうに。

まぁ、そりゃ友達は何人いても困らないのかもしれないけど。

でも何だって、わざわざ僕を友人の一人に数えようとするのか。

余程の物好きとしか思えない。

それとも、僕がおかしいんだろうか。

僕が、難しいことを考え過ぎなんだろうか?

自分が誰かに…利用されることは無限にあっても。

誰かに好かれるとか、大事にされるとか。

どうしても、未だにそういう扱いをされるのは慣れない。

道具として扱われる方が、余程自然に受け入れられる。

分からない。

不死身の便利な道具じゃなくて。相手の心を読める便利な道具じゃなくて。

僕という人間が大事だと、そう思ってくれたのは、未だかつてリリスだけ。

だけ…だったのに。

他の人にもそんな風に思われるのは、何だかとても…不思議な気持ちがして、むず痒い。

どうしたら良いのか分からなくなる。







「…何で、そう思うの?」

「…何でと言われても…」

それは、だって…。

生まれたときから、ずっとそうだったからですよ。