神殺しのクロノスタシスⅣ

「僕達、将来どうするんだろう?」

「うーん…。他の同級生みたいに、聖魔騎士団に入るとか?」

聖魔騎士団魔導部隊。

学院を卒業する生徒の、大半がそこに入るらしい。

「ツキナも、聖魔騎士団に入るらしいよ」

ツキナ…。『八千歳』が入ってる園芸部の部長だよね。

そっか。あの人も聖魔騎士団に入るのか。

「ユイトも聖魔騎士団に入るつもりだって言ってた」

「誰?」

「僕のルームメイト」

「あ、そう」

やっぱり学院の生徒なら、大半がそうするんだね。

「聖魔騎士団って、そんなに良い組織なのかな」

「…さぁ…」

これまで、散々聖魔騎士団の人達に助けてもらっておきながら。

結構薄情な物言いの僕達であった。

「少なくとも、『アメノミコト』よりは楽しいんじゃない?」

「そうかな」

「でも、俺達が入って良いのかどうかは、別の話だよねー」

「…そうだね」

僕達って、普通の生徒とは違うもんね。

何処に行っても何してても、この国にいる限り、僕達はこの国の人達に迷惑を掛ける。

僕達が聖魔騎士団に入っちゃったら、今度は聖魔騎士団の人が、「『アメノミコト』の裏切り者」を庇う敵とみなされる。

そうしたら今度は、聖魔騎士団の人達が、『アメノミコト』に命を狙われることになるんだよね。

誰にも迷惑をかけずにいたいと思ってるのに、それが出来ないのは辛いことだ。

そんな僕達が…。

将来の夢なんて…人並みに持って良いものか。

「…確かに、俺達に夢を見るなんて不可能かもしれないけどさー」

と、『八千歳』が言った。

「でも、今回のイレースせんせーの課題って、別に将来の夢じゃなくてもいーんでしよ?」

「あ、そうか…」

将来の夢…っていうのは、別に。

将来なりたいものを指す訳じゃないんだよね。

「目標でも良いって言ってたじゃん。俺達はそっちにしよ」

「成程。目標か…。目標なら、あるかもしれない」

「だよねー」

目標…目標か。

それなら、僕でも探せるかもしれない。