生徒達と、もぐもぐフォンダンショコラを食べていると。

次々に、教師陣が学院長室に集まってきた。

「失礼しますよ、学院長」

「あ、イレースちゃんいらっしゃい!」

「…」

部屋に入ってきたイレースは、むっと立ち込めるほどのチョコレートの匂いに、顔をしかめた。

更に。

「あ、イレース先生だ」

「こんにちは〜」
 
「お邪魔してまーす」

三人娘が、フォーク片手にイレースに挨拶。

イレースは、フォンダンショコラにぱくつく三人を、じろりと睨んだ。

「あなた達…ちゃんと、宿題は終わってるんでしょうね?」

「はーい」

「そうですか…。まぁ、それなら良いでしょう」

溜め息混じりのイレースである。

本当ごめんな。

「それよりイレースちゃん!」

「それよりって何ですか。この書類、さっさと目を通してください」

「イレースちゃんにもあるんだよ、フォンダンショコラ!さぁさぁ、用意するからちょっと待っててね〜」

「私は要りません。話を聞きなさい」

「大丈夫大丈夫!飲み物はちゃ〜んとホットチョコレートだから!」

駄目だ。諦めろイレース。

頭の中までフォンダンショコラなシルナには、何を言っても聞こえていない。

「…はぁ…」

深々と溜め息をつくイレース。本当ごめん。

更に、そこに。

「はぁ…。大変だった…」

「まぁまぁ、あれくらい可愛いものじゃないですか〜」

天音と、ナジュが合流。

天音まで溜め息ついて。何だか疲れた様子だ。

ナジュの方は、相変わらずへらへらしてるけど。

「へらへらしてるとは人聞きの悪い。いつも笑顔で感じが良い、と言ってください」

隙あらば人の心を読む奴の、何処が感じが良いって?

「おっ、ナジュ君に天音君も!いらっしゃい!フォンダンショコラあげるね〜」

シルナは、にこにことフォンダンショコラを用意した。

これで、教師陣皆揃ったな。