待ち合わせ場所には、既に『八千歳』が来て待っていた。
「遅いよ、もー。何やってんの」
「ごめん」
「さー、早くパトロールするよ」
「うん」
僕は『八千歳』と共に、学院敷地内のパトロールに出かけた。
…え?何でこんなことしてるのかって?
ほら、最近何かと物騒だから。
賢者の石の一件とか、白雪姫の一件とか。
『アメノミコト』との諍いだって、今は冷戦状態だけど、いつまた再燃するか分からないし。
昼間ならともかく、僕らの時間である夜の間に、学院に何かあったら申し訳が立たない。
そう思って『八千歳』に相談し、話し合って。
こうして毎晩、夜間パトロールに出ようということになった。
二人で灯り代わりの提灯を持って、深夜の学院を歩いて回り、異常がないかを確かめる。
ちなみに学院の敷地内には常に、学院長の分身が警備代わりにうようよしている。
シルナヤママユガを始め、夜行性の昆虫が多いのだが。
「はいはーい。こっちだよー」
『八千歳』が提灯で照らすと、シルナヤママユガは一斉に群がってきた。
更に。
「はい、砂糖」
持ってきた角砂糖を砕いて、軽くパラパラと撒くと。
学院長の分身虫達は、凄まじい勢いで群がってくる。
こういうところは、本人の習性を踏襲しているらしい。
いずれにしても、学院長の分身パトロール隊はこのように、簡単に掻い潜ることが出来るので。
全然宛にならない。
やっぱり、僕達が実際に目で見て、確認する方が良い。
今夜もそれを実感しながら、今夜も月に見守られて夜のパトロールである。
…すると。
「今日ツキナがさー」
と、『八千歳』が喋り始めた。
ツキナ。『八千歳』が所属している園芸部の部長だ。
『八千歳』は、このツキナという人物に関する話をすることが多い。
そして彼女について話しているときの『八千歳』は、とても楽しそうなのだ。
ツキナという女の子は、『八千歳』を笑顔にすることが出来るんだな。
有り難くもあり、羨ましくもある。
僕もそうなれたらなぁ。
「って、聞いてる?」
「聞いてるよ」
「ツキナが、生徒手帳をデコったんだって」
「へぇ」
やっぱり、二年生でも流行ってるんだ。
「それで、ついでに俺のもデコってくれたんだー。ほら、大根柄」
『八千歳』が、自分の生徒手帳を見せてくれた。
本当に、大根の模様がプリントされた布でカバーしてる。
初めて見た。
「何で大根なの?」
「さぁ」
「でも、お洒落だね」
「でしょー?ツキナのセンスには脱帽だよ」
『八千歳』も、生徒手帳デコレーションしてたんだ。
それは奇遇だな。
「遅いよ、もー。何やってんの」
「ごめん」
「さー、早くパトロールするよ」
「うん」
僕は『八千歳』と共に、学院敷地内のパトロールに出かけた。
…え?何でこんなことしてるのかって?
ほら、最近何かと物騒だから。
賢者の石の一件とか、白雪姫の一件とか。
『アメノミコト』との諍いだって、今は冷戦状態だけど、いつまた再燃するか分からないし。
昼間ならともかく、僕らの時間である夜の間に、学院に何かあったら申し訳が立たない。
そう思って『八千歳』に相談し、話し合って。
こうして毎晩、夜間パトロールに出ようということになった。
二人で灯り代わりの提灯を持って、深夜の学院を歩いて回り、異常がないかを確かめる。
ちなみに学院の敷地内には常に、学院長の分身が警備代わりにうようよしている。
シルナヤママユガを始め、夜行性の昆虫が多いのだが。
「はいはーい。こっちだよー」
『八千歳』が提灯で照らすと、シルナヤママユガは一斉に群がってきた。
更に。
「はい、砂糖」
持ってきた角砂糖を砕いて、軽くパラパラと撒くと。
学院長の分身虫達は、凄まじい勢いで群がってくる。
こういうところは、本人の習性を踏襲しているらしい。
いずれにしても、学院長の分身パトロール隊はこのように、簡単に掻い潜ることが出来るので。
全然宛にならない。
やっぱり、僕達が実際に目で見て、確認する方が良い。
今夜もそれを実感しながら、今夜も月に見守られて夜のパトロールである。
…すると。
「今日ツキナがさー」
と、『八千歳』が喋り始めた。
ツキナ。『八千歳』が所属している園芸部の部長だ。
『八千歳』は、このツキナという人物に関する話をすることが多い。
そして彼女について話しているときの『八千歳』は、とても楽しそうなのだ。
ツキナという女の子は、『八千歳』を笑顔にすることが出来るんだな。
有り難くもあり、羨ましくもある。
僕もそうなれたらなぁ。
「って、聞いてる?」
「聞いてるよ」
「ツキナが、生徒手帳をデコったんだって」
「へぇ」
やっぱり、二年生でも流行ってるんだ。
「それで、ついでに俺のもデコってくれたんだー。ほら、大根柄」
『八千歳』が、自分の生徒手帳を見せてくれた。
本当に、大根の模様がプリントされた布でカバーしてる。
初めて見た。
「何で大根なの?」
「さぁ」
「でも、お洒落だね」
「でしょー?ツキナのセンスには脱帽だよ」
『八千歳』も、生徒手帳デコレーションしてたんだ。
それは奇遇だな。


