神殺しのクロノスタシスⅣ

――――――…一方。

下校時刻を過ぎ、外が暗くなり、そろそろ学生寮の消灯時間がやって来るという、その頃。

僕は自分の部屋にこもって、作業に熱中していた。

「…えーっと。あのー…」

「…」

あまりに没頭していたので、後ろからルームメイトに声をかけられたことにも、僕は気づかなかった。

黙々。

「…あのー…。ねぇ、ちょっと…良いかな?」

「…」

「もしもーし…あの…。おーい…」

「…」

黙々。

…よし、良い感じに出来た。

「あとは、骨を飾り付けたら完成だ」

と、いう僕の独り言に。

「えっ、骨!?」

と、ルームメイトが大声をあげたことで、僕はようやく気がついた。

振り向くと、ルームメイトのユイト・ランドルフが、愕然とした様子でこちらを見ていた。

…?

僕、何か変なことでも言った?

「どうかした?」

「え?いや、その…」

「何かあったの?」

何だか挙動不審みたいだけど。

「あのさ…その、さっきから、何してるの…?」

ストレートに、ユイトが聞いてきた。

何をしてるのかって、そんなの見ての通り。

「生徒手帳をデコってるんだ」

僕は、作りかけの生徒手帳カバーを見せた。

我ながら、自分で言うのも何だけど、良い出来だと思う。

「せ、生徒手帳を…?」

「うん。今クラスで流行ってるんだって。皆お互いに生徒手帳見せ合ってるから、僕もその時代の流れに乗ろうと思って」

協調性は大事だって、羽久も言ってたしね。

僕はクラスメイトとの協調性を保つ為、自らクラスの流行りに乗っかってみた。

その結果が、このデコレーション生徒手帳だ。

生徒手帳をこんな風に飾ることに、何の意味があるのかは分からないけど。

クラスメイトが嬉しそうにやっていることなんだから、きっと何か意味はあるのだろう。