令月が突き刺した小刀は、白雪姫の首にグサリと刺さったまま、押しても引いても抜けない。
すぐりの糸は、白雪姫の胴体を両断する前にぷつりと切れて、糸そのものが消滅した。
それどころか。
ぐるりと首を回した白雪姫は、小刀を突き刺した格好のままの令月に向かって、がぱっ、と口を開けた。
血にまみれたその牙が、令月に噛みつこうとした。
やばっ…、
「『八千代』!糸!」
「!」
咄嗟に助けに入ろうとしたが、さすが、そこは相棒の方が早かった。
すぐりが叫ぶなり、令月は小刀から手を離し、すぐりの引いた糸に足を触れた。
途端、ゴムに弾かれたように、令月の身体が吹き飛んだ。
すぐりの糸で、後方に飛ばされたのだ。
そうしなければ、白雪姫に噛みつかれていた。
ただ、とんでもない速度と角度で飛んだせいで、上手く着地出来ず、凄まじい音を立てて壁に激突していた。
それでも、白雪姫に噛みつかれるよりはマシだ。
「大丈夫か令月!?」
「うん…平気」
壁に激突したにも関わらず、令月はすっくと立ち上がった。
ちゃんと受け身は取っていたらしい。
それで。
「ナジュ!」
「いたたた…。歯型ついてますよ、これ…」
首から肩にかけて、白雪姫に肉を抉られたナジュは。
それはもう、スプラッター映画のような有り様になっていた。
ナジュの周りが、一瞬にして血の海だ。
「ナジュ君…!しっかりして!」
天音が急いで駆け寄り、回復魔法をかけていた。
その間、イレースが空間魔法を使って、学院長室を異空間に飛ばしていた。
賢明な判断だ。
こんなところでドンパチしてたら、生徒が何事かと入って来かねない。
絶対に、生徒にはこのグロ白雪姫を見せたくない。
一生モノのトラウマだ。
で、それよりも。
「何で俺の魔法が効かないのかな」
「僕の力魔法も通じなかった」
すぐりと令月が、それぞれそう言った。
そう、気になるのはその点だ。
二人共、確かに白雪姫に致命的な一撃を与えようとしていた。
それなのに、その攻撃がまるで通らなかった。
一応令月の小刀は、白雪姫の首に突き刺さったままだが。
あいつは人形なのだ。痛覚はない。
首に小刀が突き刺さっていようが、問題なく動ける。
「あいつも、賢者の石みたいに魔封じの力があるの?」
と、尋ねる令月に、珠蓮が答えた。
「いや…そんなはずはない。魔封じの力を持つのは、賢者の石だけだ」
…だとしたら、何で…令月とすぐりの魔法が、通用しなかったんだ?
すぐりの糸は、白雪姫の胴体を両断する前にぷつりと切れて、糸そのものが消滅した。
それどころか。
ぐるりと首を回した白雪姫は、小刀を突き刺した格好のままの令月に向かって、がぱっ、と口を開けた。
血にまみれたその牙が、令月に噛みつこうとした。
やばっ…、
「『八千代』!糸!」
「!」
咄嗟に助けに入ろうとしたが、さすが、そこは相棒の方が早かった。
すぐりが叫ぶなり、令月は小刀から手を離し、すぐりの引いた糸に足を触れた。
途端、ゴムに弾かれたように、令月の身体が吹き飛んだ。
すぐりの糸で、後方に飛ばされたのだ。
そうしなければ、白雪姫に噛みつかれていた。
ただ、とんでもない速度と角度で飛んだせいで、上手く着地出来ず、凄まじい音を立てて壁に激突していた。
それでも、白雪姫に噛みつかれるよりはマシだ。
「大丈夫か令月!?」
「うん…平気」
壁に激突したにも関わらず、令月はすっくと立ち上がった。
ちゃんと受け身は取っていたらしい。
それで。
「ナジュ!」
「いたたた…。歯型ついてますよ、これ…」
首から肩にかけて、白雪姫に肉を抉られたナジュは。
それはもう、スプラッター映画のような有り様になっていた。
ナジュの周りが、一瞬にして血の海だ。
「ナジュ君…!しっかりして!」
天音が急いで駆け寄り、回復魔法をかけていた。
その間、イレースが空間魔法を使って、学院長室を異空間に飛ばしていた。
賢明な判断だ。
こんなところでドンパチしてたら、生徒が何事かと入って来かねない。
絶対に、生徒にはこのグロ白雪姫を見せたくない。
一生モノのトラウマだ。
で、それよりも。
「何で俺の魔法が効かないのかな」
「僕の力魔法も通じなかった」
すぐりと令月が、それぞれそう言った。
そう、気になるのはその点だ。
二人共、確かに白雪姫に致命的な一撃を与えようとしていた。
それなのに、その攻撃がまるで通らなかった。
一応令月の小刀は、白雪姫の首に突き刺さったままだが。
あいつは人形なのだ。痛覚はない。
首に小刀が突き刺さっていようが、問題なく動ける。
「あいつも、賢者の石みたいに魔封じの力があるの?」
と、尋ねる令月に、珠蓮が答えた。
「いや…そんなはずはない。魔封じの力を持つのは、賢者の石だけだ」
…だとしたら、何で…令月とすぐりの魔法が、通用しなかったんだ?


