神殺しのクロノスタシスⅣ

…なんてことだ。

俺達は、玩具相手に必死になってたってことが…。

…いや、だって知らなかったんだから、しょうがないだろ。

いきなり現れて、いかにも危険な魔法道具です、みたいな香りを漂わせて。

それっぽい指輪まで嵌められたら、そりゃ「ヤバいものなのでは?」と思うだろ。

拳銃だってそうだろ。見た目だけだったら、素人にはそれが玩具なのか、本物なのかは分からない。

引き金を引いて、本当に人を殺せるのかどうか確かめてみないことには。

つーか、玩具なら取扱説明書くらいつけとけや。

紛らわしいだろ。

「何やってたんだ、俺達…。玩具に踊らされて…」

色々犠牲になってくれた、聖魔騎士団の大隊長達に申し訳が立たないんだが?

土下座しても許してもらえない案件。

「それは…仕方ない。私も…疑問ではあったけど、やっぱり確証がなかったから…。思い出したのも、ごく最近だし」

シルナが、たまに棺桶を見つめてボーッとしてたのは、それか。

思い出すのに必死だったんだな。

「当時は色んな魔法道具が作られていて、本当に危ないものもたくさんあれば、こんな風に…玩具として使われているものもあったんだ」

たくさんあり過ぎて、どれがどれだか分からなくなってたんだな?

しかしまぁ…なんて間抜けな話だよ。

力ずくで外せるような指輪に、ずっと騙されていたなんて…。

学院の園芸部の畑で、簡単に掘り起こせたのもそれが理由だな?

玩具だから。大して厳重な封印は必要ない。

だから、賢者の石の封印が解かれると同時に、あっさりとこの世に現れた。

そういうことだったんだ。

俺達マジで何してたんだろう、アホくせぇ…とは思うけれど。

まぁでも…これがもし、お遊びじゃ済まない、本当にヤバい魔法道具だったら…今頃、死者が出ていたかもしれないんだから。

それを思えば、「実は玩具でした(笑)」で済ませられる方が、まだマシ…。

…いや、マシではないだろ。結構実害出てるし。

俺は骨折したしな。

子供の玩具にしては、過激過ぎるんじゃないの?

こんなもので遊んでたのか、イーニシュフェルトの里の子供は。

教育に悪いと思うぞ。

「お、おい!何だお前達。僕は玩具なんかじゃないぞ!」

ん?

ちらりと見ると、憐れにも茨の指輪を千切られた水色小人が、キャンキャン喚いていた。

今となっては、お前ももう雑魚キャラだよ。

「僕は『白雪姫と七人の小人』の一人なんだ。白雪姫に仕える、忠実な小人なんだからな!」

「あー、はいはい。そういう設定な」

分かった分かった。そりゃ凄いねー。

もう、お前には騙されんぞ。