神殺しのクロノスタシスⅣ

…。

…え?

突然の出来事に、俺はポカンとしていたが。

水色小人も、一緒にポカンとしていた。

何が起きたのか分からなかった。

え、そ、その指輪って…。

…外せたの、か?

そんな…力技で…?

え?でも無駄なのでは?

だって契約したのは事実だし、何度指輪を外しても、再度嵌められたんじゃ意味が…。

あれ?でも力ずくで外せるなら、何度嵌められようが、その都度外せば無問題では?

…えぇ…?

しかも、超間抜けなことに。

「え、ど、どうして外し…な、何で外せるんだ!?」

小人がめっちゃ狼狽えてる。

明らかに、小人にとってもイレギュラーな事態らしい。

お前、あれだけ自信たっぷりに、偉そうなこと言いまくってた癖に。

切り札である指輪がなくなったら、途端にそれかよ。

今までイキっていたのが、凄く馬鹿らしく感じる。

「珠蓮…。お前、それ…どうやって外したんだ?」

賢者の石を守る封印の守り人…であるが故に出来ることなのか。

珠蓮にしか分からない、特別な指輪の外し方があるのか…と、思ったが。

「どうやっても何も…普通に引き千切っただけだ。力ずくでな」

そんなことはなかった。

本当に、ただぶっちぎっただけだった。

「マジかよ…。そんなことが出来たのか…?」

「俺に出来るのだから、お前達でも余裕だろう。何故…こんなものをいちいち相手にしていたんだ?」

おい待て。やめろ。

じゃあ、何なんだ?俺達がこれまで、律儀に六人分、命を懸けて、散々手間と労力を払って、契約を遂行してきたのは…。

全部…茶番だったってことなのか?

本当は、こんな契約、力ずくで破棄することが出来て…。

いちいちムカつく小人の言うことなんて、聞かなくても…別に構わなかったと…。

俺達が勝手に…「言うことを聞かないと七日後に死ぬ」という脅し文句に…踊らされていただけで…。

そう思うと、あまりの虚しさと馬鹿馬鹿しさに、俺は全身から力が抜けてしまいそうになった。

俺、階段から突き飛ばされて骨折してまで、小人の契約に付き合ったんだが?

あれも無意味だったのか?

すると。

「…やっぱり…そうだったんだ…」

シルナが、呆然とそう呟いた。

…は?