「実は…元凶は、これなんだけど…」
シルナは、白い棺桶を指差した。
棺桶の中には、ドレスを着た白雪姫の人形が、両手を合わせて眠っている。
彼女が握っている瓶には、透明な液体が入っている。
これまでに小人を通して収集した、感情の小瓶の中身だ。
様々な色の感情が混ざって、黒になるのかと思ったら、何故か透明だ。
不思議だよな。
「これは…」
「『白雪姫と七人の小人』って言って…。賢者の石と同じく、イーニシュフェルトの里で研究されていた、魔法道具の一つなんだ」
「…」
珠蓮は、無言で棺桶の中を見つめていた。
…何考えてるんだろう?
変なもん見つけてきやがったな、とか思ってるのだろうか?
違うんだよ。園芸部の畑に埋まっててさ。
「多分、賢者の石の封印が解かれたことで、一緒に出土したんじゃないかと思うんだ」
「…そうか。確かに…イーニシュフェルトの里には、賢者の石以外にも、様々な魔法道具が存在し…それぞれ封印を施されたと聞いた」
イーサ・デルムトを通して、珠蓮にも伝わっていたか。
「その一つが、これか…」
「そうなんだ。とはいえ、私もこれ…『白雪姫と七人の小人』については、あまり詳しくなくてね…。珠蓮君、何か知ってるかな…?」
と、シルナは縋るように尋ねた。
しかし。
「…済まない。この魔法道具については、俺も聞いたことはない」
…そうなのか。
まぁ、しょうがないか。
珠蓮の担当は、あくまでも賢者の石だし。
無数に残されているであろう魔法道具の全てを、いちいち熟知出来るはずがない。
シルナでさえ、そこまで記憶にないって言うんだからな。
「それで、この魔法道具をどうしようと?また封印するのか?」
「いや、それが…。この魔法道具、棺桶の中から、それぞれ一つずつの感情を司る小人が、全部で七人出てきて…。それぞれが持ってる空の感情の小瓶を、いっぱいにしてあげなきゃならないんだ」
「…」
この説明で、理解してもらえるだろうか?
普通は無理だよな。
「七日以内にそれが出来なかったら、小人と契約した者が、白雪姫の毒で殺されるらしいんだ」
「今のところ、何だかんだ六人の小人と契約して、六人分の感情を集めたんだけど…」
「…残る一人分を、俺が回収すれば良いのか?」
理解してもらえた。すげぇ。
珠蓮の理解力が半端じゃない。
お前は話の分かる男だよ。
「厚かましい頼みだってことは、百も承知だよ。それに…『白雪姫と七人の小人』との契約は、命を懸けてもらうことにもなる…」
「…」
下手をすれば、命はないのだ。
ナジュは不死身だったから、死なずに済んだだけで。
七日間の契約期間に、感情の小瓶をいっぱいに出来なかったら…そのときは…。
…だから、こんな頼みは、厚かましいにも程がある。
「…無理にとは言わない。断ってくれても構わない。お前は、賢者の石の封印を守ってるんだし…」
もし珠蓮に、万一のことがあったら…賢者の石の封印は、永遠に失われてしまうことになる。
封印を守る為にも、珠蓮はみだりに命の危険を犯すべきではない。
呼びつけておいて何だ、と思われそうだが…。
きちんと説明をした上で、それでも無理だと思うなら、遠慮なく断ってくれれば…。
すると。
「…それは構わないが、その前に…」
と、珠蓮が言おうとした、
そのときだった。
待ってましたと言わんばかりに、棺桶の中から、ひょこっと小人が現れた。
シルナは、白い棺桶を指差した。
棺桶の中には、ドレスを着た白雪姫の人形が、両手を合わせて眠っている。
彼女が握っている瓶には、透明な液体が入っている。
これまでに小人を通して収集した、感情の小瓶の中身だ。
様々な色の感情が混ざって、黒になるのかと思ったら、何故か透明だ。
不思議だよな。
「これは…」
「『白雪姫と七人の小人』って言って…。賢者の石と同じく、イーニシュフェルトの里で研究されていた、魔法道具の一つなんだ」
「…」
珠蓮は、無言で棺桶の中を見つめていた。
…何考えてるんだろう?
変なもん見つけてきやがったな、とか思ってるのだろうか?
違うんだよ。園芸部の畑に埋まっててさ。
「多分、賢者の石の封印が解かれたことで、一緒に出土したんじゃないかと思うんだ」
「…そうか。確かに…イーニシュフェルトの里には、賢者の石以外にも、様々な魔法道具が存在し…それぞれ封印を施されたと聞いた」
イーサ・デルムトを通して、珠蓮にも伝わっていたか。
「その一つが、これか…」
「そうなんだ。とはいえ、私もこれ…『白雪姫と七人の小人』については、あまり詳しくなくてね…。珠蓮君、何か知ってるかな…?」
と、シルナは縋るように尋ねた。
しかし。
「…済まない。この魔法道具については、俺も聞いたことはない」
…そうなのか。
まぁ、しょうがないか。
珠蓮の担当は、あくまでも賢者の石だし。
無数に残されているであろう魔法道具の全てを、いちいち熟知出来るはずがない。
シルナでさえ、そこまで記憶にないって言うんだからな。
「それで、この魔法道具をどうしようと?また封印するのか?」
「いや、それが…。この魔法道具、棺桶の中から、それぞれ一つずつの感情を司る小人が、全部で七人出てきて…。それぞれが持ってる空の感情の小瓶を、いっぱいにしてあげなきゃならないんだ」
「…」
この説明で、理解してもらえるだろうか?
普通は無理だよな。
「七日以内にそれが出来なかったら、小人と契約した者が、白雪姫の毒で殺されるらしいんだ」
「今のところ、何だかんだ六人の小人と契約して、六人分の感情を集めたんだけど…」
「…残る一人分を、俺が回収すれば良いのか?」
理解してもらえた。すげぇ。
珠蓮の理解力が半端じゃない。
お前は話の分かる男だよ。
「厚かましい頼みだってことは、百も承知だよ。それに…『白雪姫と七人の小人』との契約は、命を懸けてもらうことにもなる…」
「…」
下手をすれば、命はないのだ。
ナジュは不死身だったから、死なずに済んだだけで。
七日間の契約期間に、感情の小瓶をいっぱいに出来なかったら…そのときは…。
…だから、こんな頼みは、厚かましいにも程がある。
「…無理にとは言わない。断ってくれても構わない。お前は、賢者の石の封印を守ってるんだし…」
もし珠蓮に、万一のことがあったら…賢者の石の封印は、永遠に失われてしまうことになる。
封印を守る為にも、珠蓮はみだりに命の危険を犯すべきではない。
呼びつけておいて何だ、と思われそうだが…。
きちんと説明をした上で、それでも無理だと思うなら、遠慮なく断ってくれれば…。
すると。
「…それは構わないが、その前に…」
と、珠蓮が言おうとした、
そのときだった。
待ってましたと言わんばかりに、棺桶の中から、ひょこっと小人が現れた。


