神殺しのクロノスタシスⅣ

「珠蓮君…。久し振りだね、こちらはシルナと、それから横に羽久がいる」

『そうか』

タイムラグもなく、すぐそこにいるかのように、会話が通じる。

なんてハイテクなんだ。見た目はただの石なのに。

「突然ごめんね…。今、何処で何してるの?」

『さる世界で旅をしているところだ』

相変わらず旅人なんだな。

「そ、そっか…」

『…それで、何があった?』
 
「え?」

『何か要件があるから、連絡してきたんだろう?俺が力になれることがあるか?』

…さすが珠蓮。

何でもお見通し、って訳か。

下手に出て頼み事をしなければならない俺達にとっては、向こうから切り出してくれたことは有り難い。

力になれることがあるか、と聞いたな?

その通り、力になれることがあるから、手を貸して欲しいんだよ。

情けないことにな。

「…何でもお見通しだね、珠蓮君…。包み隠さず話すよ。そう、君に力を貸して欲しいんだ」

『そうか』

「急ぎ、イーニシュフェルト魔導学院に来てもらえないかな?」

都合の良いときで良い、と言いたいところだったが。

最後の小人が、いつ出てくるか分からないのだ。

出来るだけ早めに合流してもらいたい。

「あ、こちらから迎えに行くから。空間魔法を使って…」

『いや、その必要はない』

「え?」

『そこにある、賢者の石の魔力を辿る。そうすれば…』

と、珠蓮が言ったかと思うと。

しゅんっ、と音を立てて。

「…この通り、一瞬で移動出来る」

目の前に、寿木珠蓮その人が、瞬間移動してきた。

…なんて便利なんだ。賢者の石…。

救急車より早いぞ。

「す…凄いね…」

これには、シルナもびっくり。

「だから、欠片をそちらに託したんだ。いつでも助けに来られるようにな」

「ありがとう…。本当に、助かるよ…」

「それで、俺は何をすれば良い?」

何も聞かずに来たんだもんな、珠蓮。

せめて何があったのか、聞いてから来るのかと思いきや。

「助けが欲しい」と言うなり、理由も聞かずに駆けつけてきた。

頼もしいことこの上ないよ。全く。