と、そんな訳があって。

すぐさま、学院の教師陣にも、「珠蓮を呼ぼうと思う」と伝えた。

皆驚いていたけれど、理由を深く追及することはなかった。

というのも、シルナの心を読んだであろうナジュの。

「どうやら学院長には、学院長の考えがあるようですね。なら、それに任せてみましょうか」という、鶴の一声があったからである。

それに、シルナはこの『白雪姫と七人の小人』が開発された、イーニシュフェルトの里の出身だ。
 
現状誰よりも、『白雪姫と七人の小人』についてよく知っている。

そのシルナが言うのであれば、あながち間違ってはいないだろう。

また学院外の人間を巻き込むことになって、気は進まないが…。

それでも、力になってくれるなら有り難い。

あとは、珠蓮が引き受けてくれれば…。

こればかりは、聞いてみないことには分からない。

俺とシルナは、早速賢者の石通信機を用いて、珠蓮に連絡を取ることにした。





「珠蓮君。珠蓮くーん…聞こえるー?」

賢者の石の欠片に、僅かに魔力を込め。

石に向かって呼びかけてみる。

傍から見ると、石に向かって話しかけてるヤバい人だが。

これ通信機なんだよ。一応。見た目は石だけど。

珠蓮の話だと、これで繋がるらしいのだが…。

「…返事がないね。通じてるのかな…?」

「さぁ…。通じてると思うけどな…」

通信環境とか、関係あるんだろうか?この賢者の石は。

遠く離れてると通じにくい、とか?

と、思っていると。

『…シルナ・エインリーか。どうした?』

あ、通じた。

しかも、かなり感度良好。

通信環境が〜云々言って済みません。

めちゃくちゃちゃんと通じてた。何よりだ。

これで、コンタクトを取ることには成功した。

あとは、肝心要のヘルプ要請をするだけだ。