神殺しのクロノスタシスⅣ

「なぁ、お前。そんなに意地になるのはもうやめよう。エヴェリナ自身も望んでるんだし。先生方も、こんなに尽くしてくださってるじゃないか」

エヴェリナ父は、エヴェリナ母の肩に手を置いて、そう言った。

あ、今のエヴェリナ母に言ったのか。

シルナに、お前もうみっともなさ過ぎるから人生やめろ、と言ってる訳じゃなかったのか。

「で、でも…」

「大丈夫。エヴェリナは、確かにまだ子供だけど、善悪の判断は自分でつけられる子だ。先生方だって…たった一生徒の為に、ここまでしてくださってるんだ。悪い方ではないはずだよ」

ありがとう、エヴェリナ父。

目の前で、汚物にしか見えない学院長が土下座してるのを見ても、「悪い方ではない」と言ってくれるとは。

素直に、「若干一名キモい先生はいるが」くらいは、言ってくれても良かったんだぞ。

「魔導師だろうと魔導師じゃなかろうと、善人はいるし悪人もいるよ。学院の先生方と、そしてエヴェリナを信じよう、な?」

「…あなた…」

凄い。

エヴェリナ父が、聖人に見えてきた。

まさに神。

ここで、えぐえぐ泣いているだけのシルナも、ちょっとは見習って欲しい。

結局泣き落としかよ。

そして。

「…分かったわよ…」

渋々ながら、ではあったが。

エヴェリナ母が、折れてくれた。

その一言を待っていた。

「…!」

泣きべそをかいていたエヴェリナの顔に、明るい光が差した。

「でも…危ないと思ったら、今度こそやめさせるからね。間違った方に行こうとしてたら…」
 
「…大丈夫ですよ、お母さん」

涙腺崩壊のシルナの代わりに、俺がそう言った。

「イーニシュフェルト魔導学院に来た限り、決して、間違った方には行かせませんから」

それだけは、太鼓判を押して請け負おう。