更に翌日。
契約から、五日目のこの日。
天音が、瞳に強い決意を持って、ピンク小人の前にやって来た。
今日の天音には、ただならぬ気配を感じる。
ど、どうしたんだ?
「…あのさ、小人さん」
天音は満を持して、小人に声をかけた。
が、小人はそっぽを向いてスルー。
おい聞こえてんだろ。返事しろよ。
「僕、この五日間考えたんだけど…。君は、僕達に優しさを教えて欲しいんだよね?」
「…そうだけど、それが何?」
お、返事した。
したけど、凄く面倒臭そう。
人の話くらい、真面目に聞けよ。
「君が優しくして欲しいって言うから、僕もナジュさんも、目一杯優しくしてきたよ。って言うか…甘やかしてきたよね、この五日間」
「…それが何?」
「でも僕は、それって違うんじゃないかって思うんだ」
…おっ?
「甘やかして、何でも言うこと聞いてあげて、我儘に付き合うことだけが、『優しさ』じゃない。君の思う『優しさ』は、単なる甘やかしでしかない」
…言ってやった。
とうとう、言ってやったぞ。
俺は、天音に拍手喝采を浴びせたい気分だった。
その通り。一言一句その通りだ。
シルナも、横でうんうん頷いている。
ナジュは、壁にもたれたまま無言だけれど。
あいつも、多分同じことを考えてるはずだ。
「こんな優しさは、本当の優しさじゃない。甘やかすのは優しさとは違う。君は、白雪姫に『優しさ』を教える為に、その小瓶をいっぱいにしたいんだよね?」
そういえば…そうだったな。
感情を知らない、空っぽの白雪姫に感情を教え、目覚めさせる為に。
その為に、様々な感情を集めている。はずだ。
「…」
小人は無言である。
「お姫様だからって、甘やかしばかりの優しさじゃあ、皆離れていくだけだよ。そんな我儘なお姫様は、誰からも尊敬されないし、誰にも愛してはもらえない」
その通り。
今のところ、お前の言う『優しさ』には苛立ちしか感じてないからな。
「甘やかしてばかりじゃ、優しさは学べない。時には厳しくすることだって…」
そう。それが本当の優しさというものだ。
しかし。
「…それは、君達の理屈でしょ?」
ピンクの服を着た小人は、憎ったらしい顔でそう言った。
契約から、五日目のこの日。
天音が、瞳に強い決意を持って、ピンク小人の前にやって来た。
今日の天音には、ただならぬ気配を感じる。
ど、どうしたんだ?
「…あのさ、小人さん」
天音は満を持して、小人に声をかけた。
が、小人はそっぽを向いてスルー。
おい聞こえてんだろ。返事しろよ。
「僕、この五日間考えたんだけど…。君は、僕達に優しさを教えて欲しいんだよね?」
「…そうだけど、それが何?」
お、返事した。
したけど、凄く面倒臭そう。
人の話くらい、真面目に聞けよ。
「君が優しくして欲しいって言うから、僕もナジュさんも、目一杯優しくしてきたよ。って言うか…甘やかしてきたよね、この五日間」
「…それが何?」
「でも僕は、それって違うんじゃないかって思うんだ」
…おっ?
「甘やかして、何でも言うこと聞いてあげて、我儘に付き合うことだけが、『優しさ』じゃない。君の思う『優しさ』は、単なる甘やかしでしかない」
…言ってやった。
とうとう、言ってやったぞ。
俺は、天音に拍手喝采を浴びせたい気分だった。
その通り。一言一句その通りだ。
シルナも、横でうんうん頷いている。
ナジュは、壁にもたれたまま無言だけれど。
あいつも、多分同じことを考えてるはずだ。
「こんな優しさは、本当の優しさじゃない。甘やかすのは優しさとは違う。君は、白雪姫に『優しさ』を教える為に、その小瓶をいっぱいにしたいんだよね?」
そういえば…そうだったな。
感情を知らない、空っぽの白雪姫に感情を教え、目覚めさせる為に。
その為に、様々な感情を集めている。はずだ。
「…」
小人は無言である。
「お姫様だからって、甘やかしばかりの優しさじゃあ、皆離れていくだけだよ。そんな我儘なお姫様は、誰からも尊敬されないし、誰にも愛してはもらえない」
その通り。
今のところ、お前の言う『優しさ』には苛立ちしか感じてないからな。
「甘やかしてばかりじゃ、優しさは学べない。時には厳しくすることだって…」
そう。それが本当の優しさというものだ。
しかし。
「…それは、君達の理屈でしょ?」
ピンクの服を着た小人は、憎ったらしい顔でそう言った。


