神殺しのクロノスタシスⅣ

結局、ピンク小人は。

その後ナジュが焼いた、ソーセージやチーズ入りのたこ焼きを、一応食べた。

三個だけだけどな。

ナジュがあんなに、たこ焼き職人か?ってくらいたくさん焼いたのに。

罰当たりな小人は、文句をつけるばかりで、ろくに食べもしない。

ベーコン入りのたこ焼きを、「何これ?何入ってるの?食感がたこみたいで嫌だ」と言ったり。

ベーコンをたこと錯覚するとか、お前の舌どうなってるんだ。

チーズ入りのたこ焼きは、「ソースと合わない。不味い」と言ったり。

お前、偏食にも程があるだろ。上手いだろチーズ入りたこ焼き。

お餅入りのたこ焼きは、「食感が嫌い。お餅とか貧乏臭い」と宣った。

全国の、お餅好きな人に謝れ。

そんなこんなで、たこ焼きに嫌気が差したのか、

「飽きたから、もう良いや。ポテトチップス食べたい」と言ったときには。

もう、頭からソースぶっかけてやりたくなった。

ソースが勿体無いから、やらなかったけどさ。

「こんなに頑張って作ったのに…。せめてもう少し食べようよ」

天音が、ピンク小人にそう言った。

その通り。作ってる人は苦労してるんだぞ。

しかし、ピンク小人の返事は。

「何?僕に説教するの?」

と、天音をじろりと睨んだ。

「せ、説教とかじゃないけど…。でも、食べ物が勿体無いから…」

「許してくれないんだ?優しくないんだね。僕に優しさを教えてくれるんじゃないの?」

「…」

「優しさ」という言葉を傘に着て、逆にこちらに脅しをかけてくる始末。

「優しいなら、許してくれるはずだよね〜」

呑気にそう言って、たこ焼きには見向きもせず、ポテトチップスを摘まむ。

…そういうのはな。

優しさとは言わないんだよ。

「…はぁ…」

天音は、小人に聞こえないよう、小さく溜め息を溢したのだった。

その気持ち、凄くよく分かる。

そして、対するナジュは。

「…」

無言で、物凄く淡々と、余剰分のたこ焼きを焼いていた。

せめて俺達や生徒達は、美味しく食べよう。