神殺しのクロノスタシスⅣ

いや、あるよ?そういうのも。

よく友達とか、親戚が集まったとき、やるよな。たこ焼きパーティー。

子供達がたこ焼き器を囲んで、各々好きな具を入れたりしてさ。

それを、このピンク一人の為だけにやれと?

どんっ…だけ面の皮が厚いんだ。

「え、いや、えぇと。たこ焼き…作るのか…」

これには、天音も困惑。

「…たこ焼き器、買ってこないといけませんね」

腕組みして聞いていたナジュが、顔をしかめて言った。

ナジュも大概、不機嫌になってきたよな。

ナジュが不機嫌なのって、かなり珍しいと思う。

少なくとも、不機嫌なのを隠さない姿は初めて見た。

「あ、えぇと…。確か、学院にたこ焼き器はあるよ」

と、シルナ。

マジで?

「前、生徒達とベビーカステラパーティーしようと思って買ったんだ」

たこ焼きパーティーじゃねぇのかよ。

ベビーカステラパーティーをする為に、たこ焼き器を買う奴がいるとは。

「無駄に物持ち良いよな、お前…」

「無駄にって言わないでよ…。役に立ってるじゃない、こういうときに…」

そうだけど。

そんなものばっかり買ってるから、浪費が多いってイレースに怒られるんだよ。

「いずれにしても、材料は必要ですね。ちょっとひとっ走りして、買ってきます」

「あ、ナジュさん待って。僕も行くよ」

慌てて、ナジュを追いかけようとする天音。

「大丈夫ですよ天音さんは。ここで待っててください」

「でも…」

「すぐ戻りますから。ちょっとは休んでてください」

…そうだな。

天音、律儀に小人の相手ばっかりして、絶対疲れてるもんな。

折角契約者は二人なのだから、お互い協力しても良いはずだ。

ついでに、契約していない俺達も、全力でフォローしよう。

こんなに優しいのに、いつも優しくない優しくない言われてさ。

やってられないよなぁ。

「じゃあ…お言葉に甘えて…」

「あぁ、そうしとけ」

俺は天音を労って、紅茶を淹れてやることにした。

それなのにピンク小人は、素知らぬ顔でそっぽを向いていた。

見なかったことにした。