神殺しのクロノスタシスⅣ

「まぁ良いや。はい、じゃあ流して」

自分は少しも準備を手伝わず、食べる係のピンク小人。

こいつ…。

「うん、じゃあ行くよー」

それなのに、天音は優しく付き合ってあげる。

上流から、一口分のそうめんを流す。

令月とすぐりが作った流しそうめん器を、なめらかに滑り落ちていく。

すげー上手に出来てんな。

が。

「あっ」

箸を突っ込むのが遅い。

小人はそうめんを取り逃し、流れる水を掴んでいた。

「落ちてきたのもーらい」

下流に置いたたらいに、ぺちょっ、と落ちたそうめんを、すぐりが箸で拾って食べていた。

「ま、まだまだあるから。次行くね」

二投目、三投目と、続けて流す天音。

しかしこの小人、反射神経が鈍いのか、全然上手く取れない。

下手くそか。

「流しそうめん美味しいね、『八千歳』」

「うん。やっぱり労働の後の食事は、一味違うねー」

楽しんでるの、令月とすぐりだけ。

漁夫の利が上手い。

「〜っ!!流れが速いんだよ!もう少しゆっくり流して!」

自分の反射神経の鈍さを棚に上げ、天音を責める小人である。

「そ、そう言われても…。じゃあ、取ってあげようか?代わりに…」

「それじゃ意味ないじゃん!」

面倒臭。

「なら、えぇと…大きめのを流すから、少しでも取りやすいように…」

そう言って、天音は出来るだけ大きめのそうめんの塊を、そっと流した。

これなら、反射神経の鈍い小人でも取れるだろう。

と、思ったのに。

「…そこだっ!」

小人が突き入れた箸は、するん、とそうめんをスルーし。

「あ、大きいの来たよ」

「ラッキー」

下流にいる、令月とすぐりの手に渡った。

…もう流すのやめて、普通に食えよ。