神殺しのクロノスタシスⅣ

そして、契約から三日目。

「ねぇねぇ。僕流しそうめん食べたい」

またしても。

今日はどんな我儘を言い出すのかと思ったら。

また、こんな面倒臭い注文をつけてきやがった。

「流しそうめんって…。今秋ですけど?」

呆れながら言うナジュ。

季節感全然ないよな、この小人。

そうめんするにしては、寒いぞ。

かといって、鍋をするにはまだ早い。そんな中途半端な時期である。

しかし、小人にはそんなことは関係ない。

「ねぇ〜。良いから、流しそうめん。早く早く」

我儘。

昨日と言い一昨日と言い…こいつの食に関する執着心は何なんだよ。

白雪姫の小人の癖に。

シルナでさえ、もうちょっと自制するわ。

「あっ。羽久がまた…私に失礼なことを考えてる気がする…」

「気のせいだ」

それどころじゃないんだよ、今は。

「流しそうめんか…。この季節だからなぁ、売ってるかな…?流しそうめん機…」

律儀に付き合ってあげるらしい天音が、困った顔で思案していた。

そんなの知るかボケ、うどんでも食ってろ、とばっさり切り捨てることなく、ちゃんと相手してあげるのが天音らしい。

この時点で充分優しいんだから、瓶の中身溜まれよ。

こんな無理難題に、ちゃんと付き合ってくれているというだけで、めちゃくちゃ優しいと思う。

すると。

「それなら、私持ってるよ」

シルナが、突然そう言った。

お?

「学院長先生?」

「流しそうめん機、前に買った奴があるんだ。あれ、まだ取っておいたはずだから、出すね」

へぇ。シルナが。

たまには役に立つもんだ。

ここに来て、謎の物持ちの良さを発揮する。

「なんか…羽久が私に失礼なことを考えてる気がするなー」

「それは良いとして、お前流しそうめん機なんか、持ってたんだな」

「うん、何年か前に買った」

ふーん。

「菓子にしか興味ないのかと思ってたよ」

そんなことはなかったんだな。

シルナのことだから、「生徒と一緒に流しそうめんしたい!」みたいな、安直な発想で衝動買いし、

「いや、流しそうめんならぬ、流しチョコとか出来ないかなぁと思って、買ってはみたんだけど、思ったようにチョコが循環しなかったから、やめたんだ」

俺の想像以上にアホな理由だった。

流しそうめんですらない。

小人よりはマシだと思ってたが…。シルナも相当だったよ…。