神殺しのクロノスタシスⅣ

二人に焼き芋を用意させた後は、

どうやら、スイートポテトが気に入ったのか。

「アップルパイとスイートポテトパイとかぼちゃパイを、それぞれ食べ比べしたい」と言い出した。

贅沢な奴だよ。

チョコパイ一種類で満足するシルナを見習え。

しかし、小人の要求を撥ね付ける訳にはいかない。

天音とナジュが手分けして、それぞれ三種のパイを買い付けに行った。

パシリだよ、これもう。完全に。

イーニシュフェルト魔導学院の教師を、二人もパシリにするなんて。

なんて贅沢なんだ。

しかも、そこまでして、三種類のパイを目の前に出してやっても。

ありがとうでも、お疲れ様でもなく。

「ふーん、こんなもんかぁ」

この一言だからな。

そこらのケーキ屋じゃなくて、三種類とも、それなりに良いお店で買ってきたものなのに。

いざ食べてみると、

「思ったより美味しくないなー」

アップルパイはこの反応。

「この間のスイートポテトの方が美味しかったなー」

スイートポテトパイはこの反応。

「何これ?甘くないじゃん」

かぼちゃパイはこの反応だった。

お前、三種のパイと、それを買ってきたナジュと天音に謝れ。

どれも一口食べてポイなので、残りは全部、シルナと生徒達が美味しく頂いた。

「お菓子を粗末にするなんて!」と、珍しくシルナが怒ってたよ。

シルナは普段から甘党で、ばくばくと甘いものばかりを食べていて、俺は呆れたものだったが。

今思えば、シルナは全然マシだな。少なくとも、このピンク小人に比べれば。

だってシルナは、甘いものをたくさん食べるけど、口に合わないからって残したり、捨てたりはしないもんな。

食べ切れないほど食べたりはしないし。

食べ物を大事にするという点で、ピンク小人よりシルナの方が、遥かに立派だ。

それなのに、ピンク小人は、パイを用意してもらった有り難みもなく。

「どうせなら、手作りが良かったのになぁ。何で作ってくれなかったの?それくらいの優しさはないの?」とか言ってた。

そういうのはな、優しさとは言わないんだよ。

用意してもらっただけでも、有り難いと思えよ。

ついでに、トドメとばかりに。

「このくらい、簡単にパパっと作れるでしょ?」と、全国のお菓子作り好きを、敵に回すような発言まで。

菓子作り舐めてんのか、この小人は。

毒りんごでも食っとけ。