神殺しのクロノスタシスⅣ

と、いうのも。

イーニシュフェルト魔導学院に帰って。

俺とナジュが、オーネラント家での経緯を説明したところ。

「…」

シルナは無言。

「ムカつく母親ですね」

イレースはご立腹。

「そんな…酷い…」

天音は絶句。

「やっぱり消す?」

「もう、その方が良いよーな気がしてきたね」

元暗殺者組は論外。

「僕も一仕事終えたんで、リリスとイチャついてきますかねー」

ナジュも論外。

「…まぁ、やれるだけのことはやった。あとは、本人と両親でよく話し合って…」

決めるしかないだろう、と俺が言おうとした、

そのとき。

「…」

シルナが、無言でぶるぶると震え始めた。

…?地震?振動?

「し、シルナ?」

「ついにパーキンソン病ですか」

イレース、やめろって。

「ど、どうしたんだよシルナ?」

「…」

何も答えない。

しかし。

「…ぶふっ」

心を読んだであろうナジュが、吹き出しているので。

絶対良いことじゃない。

「ちょ、シルナ?一旦落ち着、」

「…う、う…うわぁぁぁぁん!!」

シルナは、堰を切ったように泣き叫び。

そして、空間魔法を使って、一瞬にして学院長室から消えた。

あ…あいつ何処行った?

「例のオーネラント家ですね。追うなら、急いだ方が良いですよ。警察を呼ばれる前に」

と、ナジュが呑気に言うので。

俺はもう、全力で、シルナを追い掛けた。