神殺しのクロノスタシスⅣ

…放課後。

その頃には既に、ピンク小人の傍若無人ぶりが、遺憾なく発揮されていた。

「え?何これ。チーズケーキとは言ったけど、僕レアチーズケーキが欲しかったんだけど?」

「あ、えと、ごめん」

「それに、ショートケーキのイチゴに、ヘタが残ってるじゃないか。ちゃんと取ってから皿に乗せてよ」

「うん、ごめん…」

「チョコケーキかぁ…。何だか気が変わったなー。やっぱりティラミス食べたい。買ってきてないの?」

「ないね…」

「なーんだ。優しくないなぁ」

「…ごめんね…」

「もう良いから、肩揉んでよ」

「うん、分かった…」

…。

…さっきから、ずっとこんな調子。

とりあえず、一つ言って良いだろうか。

天音、お前はこの小人を張り倒して良い。絶対に良い。全世界がお前を許す。

「天音さんは、召使いにでもされたんですか?」

この光景を見た、イレースの一言である。

本当、召使いみたいだよな。

召使いでも、もうちょっと扱いが良いよ。

ボロクソに言われてるじゃん。天音はあんなに頑張ってるのに。

「チョコケーキが要らないなんて…!なんて贅沢な子なんだ…!」

シルナでさえ、歯噛みする始末。

判断基準はチョコケーキかよ。

「あれが『優しさ』の小人ですか…。奴には優しさよりも、常識と、感謝をする心というものを、先に教えた方が良いようですね」

「あぁ。クソ生意気な幼稚園児みたいだからな」

天音も、よく付き合ってあげてるよ。

天音じゃなかったら、とっくにキレてるだろ。

「…それで、あなたも契約したんでしょう?」

イレースが、ナジュに向かって言った。

「えぇ。一応してますね」

「天音さんを手伝わなくて良いんですか」

「やっぱり手伝った方が良いと思います?」

「契約を共にしている以上、あなたと天音さんは一蓮托生でしょう」

「ですよねー」

…まぁ、ピンク小人は、終始あんな感じだからな。

いくら契約と言えど、従いたくないのは当然だ。

俺だって嫌だよ。

しかし、天音と共に契約しているナジュは、逃げられない。

「天音さん。僕が代わりますよ、肩揉み」

「あ…うん、ありがとう」

「やれやれ、全く…。僕が肩揉みするのは、リリスだけと決まってるんですがね…」

ぶつくさ言いながら、ナジュはピンク小人の肩を揉み始めた。

が。

「ちょっと、痛い!力入れ過ぎ!もう少し優しくやってよ」

「うるさいですね…。小汚いおっさんの肩揉みさせられている、僕の気にもなってくださいよ」

ナジュは自分に素直だな。

まぁ、やってられんわな、こんな我儘小人に付き合うなんて。