「羽久さん、気が楽って?」

問い返す天音。

「いや、だってこれ以上、聖魔騎士団に迷惑かけずに済むだろ?」

嫌だったんだよ。無関係な聖魔騎士団の仲間を、死の危険に晒すのは。

残る小人は二人。

一方、これまで小人の契約を結んだことがないのは、四人。

俺とシルナと、天音とナジュの四人だ。

一度に契約する人数が、一人なのか二人なのかは、小人の気まぐれ次第だが。

残る二人の小人が、それぞれ二人ずつ契約したとしても、イーニシュフェルト組の四人で、契約を結べる。

まぁ、小人が「お前と契約するのは嫌だ」とか、ふざけたことを言い出す可能性は…まだ残っているが。

そこは、無理矢理ごり押しするしかなかろう。

これ以上、無関係の人間は巻き込めないしな。

「な、シルナ」

俺は、シルナに同意を求めた。

…が。

「…」

シルナは、俺が声をかけたことにも気づかないようで。

ただ、じーっと棺桶の中の白雪姫を眺めていた。

…?

なんか最近のシルナ…。ああやって、ボーッとしてること多いよな。

何か、思うところでもあるのだろうか?

まぁ、故郷の魔法道具が、今になって猛威を振るってるんだから…。

シルナのことだし、また「自分の責任で…」とか、面倒臭いことを考えているのかもしれない。

全く世話の焼ける…。

「おい、シルナ…」

再度、声をかけようとした。

そのとき。

「…あっ!」

『白雪姫と七人の小人』の棺桶の中から。

ひょこっと、ピンクの服を着た小人が、顔を覗かせた。

…。

…出やがった。