神殺しのクロノスタシスⅣ

だから、私は…。

これ以上、あなたが不幸になるのを見るのが耐えられません。

あなたが痛い思いをするのも、そのせいで苦しんでいるのを見るのも、耐えられません。

こうなっては、最早…怒りを通り越して、憎しみさえ感じる。

それなのに。

「小瓶がいっぱいになるまで、あとひと押しなんだよね。何をしよっか?何をして欲しい?」

小人は、この余裕綽々な顔。

何をして欲しいか、ですって?

「君が一番怒ることは〜…あ、そうだ」

赤い小人は、ポンと手を叩いた。

「もっと、彼のトラウマを刺激してみよっか。確か彼、空っぽの人格なんだよね?」

…何ですって?

「お前…そんなことまで知ってるのかよ」

「何でも知ってるよ〜?契約の茨の指輪を通じてね。空っぽの人格が好きだなんて、君も変わってるよね〜。羽久・グラスフィアは空っぽの人格だって公表するビラを作って、学校中にバラまいちゃおうか?」

…。

「おまっ…!何考えてるんだよ!」

「だって事実でしょ〜?それに、君を不幸な目に遭わせれば遭わせるほど、彼女が怒るんだもん。良いね、やってみよっか」

「ふざけんな。怪我するのはいくらしても良いから、それだけはやめろ。そんなことしたら、取り返しが…!」

「取り返しがつかないから、良いんじゃないか。よーし、やってみよ〜」

「お前…!この、まっ…」

羽久さんが、焦って立ち上がりかけたそのとき。

「…あれ?」

余裕顔だった小人が、ピタリと固まった。

いつの間にか。

小人の小瓶が、真っ赤な液体で満たされていた。

それはもう、溢れ返らんばかりに。

それもそのはずだ。

今、私の怒りは。

かつてないほどに、最高潮に達しているから。