神殺しのクロノスタシスⅣ

こんなことをしたのは、間違いなく…。

「…あなたですね?こんなことをしたのは」

私が、赤い小人を睨みつけるも。

奴は棺桶のふちに腰掛けて、鼻歌を歌っていた。

「画鋲なんて飲み込んだら、最悪死ぬかもしれないんですよ。分かってるんですか?」

死ななくても、口の中を大怪我する。

それなのに、この小人は。

「そんなの知らないよ〜。もっと怒って怒って。次は何をしようかな〜」

にやにやと、こちらを見ながら笑うだけ。

この…!

「はぁ…。駄目だ、もう…何をやっても…」

羽久さんは、溜め息をついてそう言った。

羽久さん…。

「…済みません…」

他に何を言って良いか分からず、私は羽久さんに謝罪していた。

私が謝ったからって、どうなる訳でもないけれど。

少しでも、羽久さんの心を軽くしたかった。

だって、彼がこんな目に遭っているのは、ひとえに私の…。

しかし。

「あ、いや…クュルナが悪い訳じゃないだろ。ごめん。責めるつもりはなかったんだ」

羽久さんは優しいから、そう言ってくれる。

「いえ…。私を怒らせる為に、羽久さんが酷い目に遭ってるんですから…私のせいです」

「何言ってるんだよ。悪いのは、あの性悪小人だろ?」

それは…そうですけど。

私が言いたいのは…小人のターゲットが羽久さんになってしまったのは、私が原因だから…という意味で…。

「しかし、クュルナを怒らせる為に、本人じゃない別の人間を不幸にする…か。理屈では分からなくもないが…何で俺なんだろうな?」

ぎくっ。

「同じ不幸になるなら、シルナでも、聖魔騎士団の他の仲間でも、クュルナは怒るだろ?特に…吐月とは、最近よく組むことが多いそうじゃないか」

「そ…それは、そうですが…」

「だったら、吐月を不幸にした方が、クュルナはもっと怒るんじゃないのか?…あ、いや、吐月なら不幸になっても良い、って言いたい訳じゃないけど」

「は、はい…」

それは…分かってます。

「何で俺だけなんだろうな…?」

…。

…羽久さん、それは。

あなたが不幸になることが、私にとって一番不愉快だからです。