「その授業の内容が、難しいのに分かりやすくて、これまでにない授業だと、感銘を受けたらしいです」
…そうかもな。
あれでシルナ、分身で教師作りまくってる辺り。
人に教えるのは上手いんだよ。
こればかりは、イレースも認めざるを得ない。
普段は、菓子ばっか食ってる、通称パンダ学院長だが。
そこらの学院の教師よりは、遥かに教えるのが上手い。
「それから、訓練場で見せてもらった、最新の魔導訓練設備。あれにも感動してたそうです」
「あぁ…。うちは、一応設備だけは、いつも最新式だからな…」
教師の数は、圧倒的に少ないが(ほぼシルナ分身)。
設備だけは、いつでも最新のものを揃えている。
これでも、国内最高峰の魔導学院を自称しているのだから。
お古を使ってます、じゃ格好がつかん。
「で、そのオープンスクールを経験して、是非ともイーニシュフェルト魔導学院に入学したい、その為ならどんな努力でもする、と決意を固めて、それはそれは熱心に勉強し…」
「…」
「難色を示す母親を、父親と一緒にどうにかこうにか納得させて、まさかのイーニシュフェルト一点狙いで受験して…ようやく合格したんですよ」
「…そこまでして…」
そこまでして…イーニシュフェルト魔導学院に入りたかったのか。
「この夏休みも、母親に少しでも認めてもらいたくて、一学期しこたま勉強頑張って、かなり良い成績を取ったらしいですね。立派な成績表を持って帰省して、ちょっとは認めてくれたかな、と思ってたところに…」
「…あの、シャネオン駅の爆破事件が起きた、ってことか」
「そういうことですね」
俄然、あの爆破犯が許せなくなってきた。
一人の少女が、何とか自分の夢を母親に認めてもらおうと、努力に努力を重ねてきたのに。
あの爆破犯は、線路と一緒に、エヴェリナのささやかな願いさえ爆破しやがったのだ。
あんな事件が起きなければ、エヴェリナ母も、ここまで魔導師排斥論を拗らせたりしなかっただろうに…。
「まぁ、学院に残るとしても、仮に退学するにしても…。このままだと、母親との意見の対立が、あの親子に延々と付きまとうでしょうね」
「そうだな…」
母親は魔導師は大嫌いで、でも娘は魔導師になりたくて。
その間には、大きな溝がある。
学院に戻るとしても、戻らないとしても。
多分一生遺恨が残るだろう。
最悪、エリュティアと同じく、家族と絶縁することにもなりかねない…。
と、俺はかなり深刻に悩んでいたのだが。
「あぁ、面倒なことになってきたなぁ。早く精神世界に行って、リリスに良い子良い子して欲しいなー」
「…」
この同僚詐欺師は、何処までも呑気だった。
悩んでるこっちがアホらしくなる。
…そうかもな。
あれでシルナ、分身で教師作りまくってる辺り。
人に教えるのは上手いんだよ。
こればかりは、イレースも認めざるを得ない。
普段は、菓子ばっか食ってる、通称パンダ学院長だが。
そこらの学院の教師よりは、遥かに教えるのが上手い。
「それから、訓練場で見せてもらった、最新の魔導訓練設備。あれにも感動してたそうです」
「あぁ…。うちは、一応設備だけは、いつも最新式だからな…」
教師の数は、圧倒的に少ないが(ほぼシルナ分身)。
設備だけは、いつでも最新のものを揃えている。
これでも、国内最高峰の魔導学院を自称しているのだから。
お古を使ってます、じゃ格好がつかん。
「で、そのオープンスクールを経験して、是非ともイーニシュフェルト魔導学院に入学したい、その為ならどんな努力でもする、と決意を固めて、それはそれは熱心に勉強し…」
「…」
「難色を示す母親を、父親と一緒にどうにかこうにか納得させて、まさかのイーニシュフェルト一点狙いで受験して…ようやく合格したんですよ」
「…そこまでして…」
そこまでして…イーニシュフェルト魔導学院に入りたかったのか。
「この夏休みも、母親に少しでも認めてもらいたくて、一学期しこたま勉強頑張って、かなり良い成績を取ったらしいですね。立派な成績表を持って帰省して、ちょっとは認めてくれたかな、と思ってたところに…」
「…あの、シャネオン駅の爆破事件が起きた、ってことか」
「そういうことですね」
俄然、あの爆破犯が許せなくなってきた。
一人の少女が、何とか自分の夢を母親に認めてもらおうと、努力に努力を重ねてきたのに。
あの爆破犯は、線路と一緒に、エヴェリナのささやかな願いさえ爆破しやがったのだ。
あんな事件が起きなければ、エヴェリナ母も、ここまで魔導師排斥論を拗らせたりしなかっただろうに…。
「まぁ、学院に残るとしても、仮に退学するにしても…。このままだと、母親との意見の対立が、あの親子に延々と付きまとうでしょうね」
「そうだな…」
母親は魔導師は大嫌いで、でも娘は魔導師になりたくて。
その間には、大きな溝がある。
学院に戻るとしても、戻らないとしても。
多分一生遺恨が残るだろう。
最悪、エリュティアと同じく、家族と絶縁することにもなりかねない…。
と、俺はかなり深刻に悩んでいたのだが。
「あぁ、面倒なことになってきたなぁ。早く精神世界に行って、リリスに良い子良い子して欲しいなー」
「…」
この同僚詐欺師は、何処までも呑気だった。
悩んでるこっちがアホらしくなる。


