神殺しのクロノスタシスⅣ

…予想はしていた。

予想はしていた…はずなんだが。

…予想以上だった。

お陰で、言うべき言葉が見つからない。

「あ、ジュリスだ。ジュリス見て見て〜。ドレス〜」

ベリクリーデが俺に気づいて、ひらひらとウェディングドレスの裾を揺らした。

「あ、動いちゃ駄目ですよ。折角綺麗に整えたのに」

「見て〜」

おい、シュニィの言うこと聞けよ。大人しくしとけ。

買ってもらったばかりの玩具を、親に見せなければ気が済まない子供のよう。

「…見てるよ。見てるから、落ち着け」

と、俺はようやく言葉を絞り出した。

「似合う?似合うと思う?」

「…あー、うん…。まぁ…似合ってんじゃねぇの?」

正直。

正直…予想以上だったよ。

お前、本当に…見た目だけは百点満点だな。

黙って座ってたら、マジで金取れるほど美人だぞ。

…ふーん…。ベリクリーデがウェディングドレス…ねぇ。

「…いつか本当の結婚式を迎える日があったら、お前の亭主になる男は幸せ者だな…」

「え?ジュリス何か言った?」

「別に、何も言ってねぇよ」

まぁ、そんな男が現れるかは分からないし。

本当に幸せ者と呼べるかも分からない。如何せん、見た目はともかくこの中身だからな。

振り回されまくるのがオチ。

そう思えば、ベリクリーデが本当の結婚式を迎える日は、恐らくまだまだ先だ。

「あのね、ジュリス」

「何だよ?」

「ジュリスも似合ってるよ。何だかね…本当に王子様みたい」

「…だろ?」

すげーストレートに褒めてくるな。

そんな風に言われたんじゃ、俺も褒め返さないと大人げないじゃないか。

「うん…まぁ、ベリクリーデも似合ってるよ」

「本当?お姫様みたいに見える?」

「口を開かなきゃ完璧だな」

あと、大人しく座ってたらな。

「ジュリスさんたら、素直じゃないんですから…」

シュニィがぼそっと呟いていたが、聞こえない振りをしておいた。