神殺しのクロノスタシスⅣ

次に、結婚式に欠かせないのは、食べ物関連だ。

小人からも要求があった、大きなウェディングケーキを始め。

招待客にも、食事を振る舞わなければならない。

これも相当困った。

何せ、予約もなしに、数日以内に巨大なウェディングケーキを用意しろと言われて、出来る店があるのか。

招待客の食事もそうだ。いきなり用意しろと言われても、それは無理な話。

だが、何度も言うように、これはただの結婚式ではない。

人命が懸かっているのだ。

そこで、イレースが片っ端から、王都にある高級料理店に連絡を取った。

金はいくらでも出すから、とにかく急いでくれ、と。

その中でようやく一軒、引き受けてくれる店を見つけた。

見つけたって言うか、半ば脅しだった。

だってイレース、「は?出来ない?前例がない…?それでも商売人ですか?出来る出来ないじゃない。やるんです」とか言ってたもん。

完全に脅しだ。

招待客への食事は、これで何とかなった。

問題は、ウェディングケーキだ。

こればかりは、もういっそ自分達で作るしかないか、と無謀なことを考えたが。

しかし、ここで役に立ったのがシルナだった。

「お菓子のことなら…お菓子に関することなら…私に一任して欲しい」

と、謎に真剣な顔で宣言したシルナは。

懇意にしている菓子屋に連絡し、一発で了承を取り付けた。

さすがの貫禄だった。

今日ほど、シルナの激甘党を有り難く思ったことはなかった。

まさか、こんなところでシルナの甘党が役に立つとはなぁ。

人生、分からないものだ。

多分、もう二度とこんな機会はないと思われる。

他にも結婚式に必要なものは、諸々あるが。

細かいものは、何とか結婚式場が貸してくれるという約束を取り付け。

準備を始めてから、およそ三日で全ての支度を整え。

あの理不尽なオレンジ小人との契約から四日後、俺達は異例のスピード結婚、ならぬスピード結婚式の日を迎えることとなった。

全く、この慌ただしさ。

この時点で、ちっともメルヘンの欠片もない。