神殺しのクロノスタシスⅣ

結果。

チェンジが叶わなかったジュリスとベリクリーデは、突然、今週中に結婚式を挙げることになった。

これで二人の指に茨の指輪がなければ、純粋に祝福出来たんだけどなぁ。

しかし、一口に結婚式を挙げると言っても、大変である。

まぁ、それはそうだ。

普通の結婚式だって、やると決めてすぐに行えるものではないからな。

何ヶ月も前から用意して、様々な招待客を呼んで、準備と段取りを整えて、ようやく行えるのだ。

しかし、今回は悠長に仕度をしている暇はない。

あのオレンジ小人、色々と結婚式に注文をつけてくる割には、与える時間はたった七日間しかないのだ。

しかも、一度目の挑戦で満足してくれれば良いが。

あんなに注文が多いのだ。「あれが足りない」とか「これが不充分」だとか言って、難癖をつけてくる可能性もある。

たった七日間では、到底足りない。

それでも、やらなければならない。

ジュリスと、ベリクリーデの為に。

そこで俺達は、ありとあらゆるツテを辿って、最速で、最高の結婚式を執り行う準備をした。

まずは、会場の用意だ。

ウェディングベルのある教会で、とか何とか言っていたので。

シュニィに頼んで、王都にある、該当する結婚式場に片っ端から連絡し。

何とか、空いている時間に滑り込ませてもらった。

ちなみに、シュニィに頼んだとき、「ジュリスとベリクリーデが結婚式することになった」と言ったら。

シュニィは、二十秒くらい固まっていた。

「言っとくけど、『白雪姫と七人の小人』に強制されて仕方なく、だからな」と念押しして初めて、

「あっ、そうか。そうですよね、はい」と、納得していた。

何を勘違いしていたのだろうか。多分聞かない方が良い。

ジュリスの名誉の為に。

で、次に、衣装の準備。

これは、ルシェリート夫妻が結婚式を挙げたとき使った衣装を、貸してもらうことになった。

微妙にサイズが違うが、そこは当日までに手直しするということで。

その他、結婚式に使う小物なんかは、ルシェリート夫妻から借り受ける。

マジで、結婚式の先輩がいて助かった。

しかし、借り物ではどうにもならないものもある。

と、言うのも。

「僕は華やかな結婚式が良いんだ。花とリボンに囲まれた、ロマンチックな結婚式だよ」

だとか何とか、平気な顔をして抜かす小人の為に。

俺達は、大量の生花を、当日までに調達することになった。

え、リボンはどうするのかって?

「リボン?俺が当日、糸魔法で作るよ」

という、すぐりの有り難過ぎる鶴の一言で解決した。

すぐり、これが終わったらお前には、いちご大福を死ぬほどプレゼントしてやるからな。

しかし、花だけはどうにもならないので。

イーニシュフェルト魔導学院教員一同と、聖魔騎士団魔導部隊大隊長総出で、王都各地にある花屋を手当り次第訪ね。

とにかく、買えるだけの花を買ってきた。

この時点で莫大な費用が発生している上に、小人に支払わせることも出来ないので、この費用は誰が負担するんだって話だが。

人命が懸かっている以上、背に腹は代えられなかった。