神殺しのクロノスタシスⅣ

「男同士の結婚式じゃ駄目なんだよ。僕の理想は、それこそ王子様とのお姫様、美男美女のカップルで…」

「王子と姫が、必ずしも美男美女とは限らないでしょう。デブ王子と不細工姫の組み合わせかもしれないじゃないですか」

ナジュ…。お前、メルヘンの欠片もない…。

案の定オレンジ小人は、全然興味をそそられなかったようで。

「君達じゃあ駄目だね。別の契約者を…」

「ちょっと待ってください。天音さん女装計画が」

「勝手にそんな計画立てないで!?」

天音の、悲痛な叫び声が聞こえたかと思ったら。

オレンジ小人はそっぽを向き、そして。

俺の後ろから入ってきた、聖魔騎士団メンバーを見て。

きらん、と目を輝かせた。

「そう!君達だよ。まさに君達みたいなカップルが理想だ!」

は?

何?誰のこと?

くるりと振り向いた、そのとき。

「…は?」

「…?何これ」

呆然とするジュリスと、きょとんとするベリクリーデの指には、

あの、茨の指輪が巻き付いていた。

…。

…ま、まさか…。

「僕の契約者は、君達だ。君達のロマンチックな結婚式を僕に見せて、『喜び』の感情を教えておくれよ!」

勝手にそう言って、目を輝かせるオレンジ小人に。

「…はぁぁぁぁぁっ!?」

ジュリスは、けたたましい叫び声をあげ。

「…?よく分かんないけど、頑張るね」

ベリクリーデは、謎のやる気に満ちていた。

もう、どう慰めたら良いのか分からなかった。