「仕方ないでしょう天音さん。イレースさんが契約済みの今、もうイーニシュフェルト組には野郎しかいないんですから。結婚式をするには、誰かが女装するしかないんですよ」
「う、うぅ…。それは分かってるけど…」
「例え私がフリーだったとしても、あなた方の誰かと結婚式なんて、絶対に御免ですけどね。学院長とかが相手だったら最悪です」
イレースが吐き捨てるように言った。
シルナ、とばっちりでは?
「覚悟を決めましょう天音さん。今こそ、男気を見せるときです」
「そ…そう言うなら、ナジュさんでも良いんじゃないの?女顔なんだし」
天音、反撃に出る。
が。
「えぇ。僕がやっても良いんですけど」
良いのかよ。
「でも僕は前世からの兼ね合いで、溢れる男性フェロモンのせいで、どうしても女性役は出来ないんですよ」
何だそれは。
どういう前世を送ったんだ?お前は。
「だから、天音さんが女装して新婦をやり、僕が新郎をやる。これで解決ですよ」
「な、何も解決しないよ」
すると、白けた様子でナジュと天音を眺めていたオレンジ小人が、口を開いた。
とても不満そうに。
「あのさー…。僕、男が女装するところなんて、見たくないんだけど。全然ロマンチックでも何でもないじゃない」
「そこを何とか。大丈夫ですって、天音さんなら、着飾れば絶対美少女になれる…そんな素養を持ってる人です」
「そう言われても僕、全然嬉しくないからね!」
…えーっと。
とりあえず、状況を説明して欲しいんだが…。
誰か、解説頼めないだろうか。
すると。
「あのね、あのオレンジ小人。『喜び』の感情を教えてくれって言って、出てきたんだけど…その条件が…」
「喜びと言えば、何と言っても結婚式でしょ!とか言い出してさ〜。喜びいっぱい、幸せいっぱいの結婚式が見たいんだってさ〜」
令月とすぐりの二人が、解説役を務めてくれた。
成程、そういうことだったのか。
喜びの感情…。その為に結婚式…。
…って、何でそうなるんだよ。
結婚式に限らず、喜びなら色々あるだろ。
「あ、白雪姫だからかな?王子様との結婚は、メルヘンストーリーなら定番だよね」
と、シルナが言った。
あぁ、そういうことか…。
こんな下らないところで、白雪姫要素を出してくるんじゃない。
「ったく惜しいことをしたなぁ。俺が契約済みじゃなかったら、すぐにツキナを呼んでくるところだったのに…」
すぐりが、何やらぼそぼそ呟いているが。
今は、それどころではない。
「大体、性別で区別するのはおかしくないですか?男同士でも、幸せな結婚式を挙げてる人はいますよ」
妙な点でジェンダーフリーなナジュである。
しかし、あくまで古風でメルヘンな展開を望む、白雪姫の小人は。
「そうじゃないんだよなー…。僕か望んでるのは、ちゃんと白いタキシードに白いウェディングドレスで…。大きなウェディングケーキがあって、素敵な教会でウェディングベルを鳴らして…」
注文が多い。
これまでの小人も大概だったが、こいつも相当我儘だぞ。
自分の中で、「理想の結婚式」の型がきっちり決まっている。
その通りに行われないと、こいつは喜びを感じない。小瓶がいっぱいになることはない。
なんて厄介なんだ。
「う、うぅ…。それは分かってるけど…」
「例え私がフリーだったとしても、あなた方の誰かと結婚式なんて、絶対に御免ですけどね。学院長とかが相手だったら最悪です」
イレースが吐き捨てるように言った。
シルナ、とばっちりでは?
「覚悟を決めましょう天音さん。今こそ、男気を見せるときです」
「そ…そう言うなら、ナジュさんでも良いんじゃないの?女顔なんだし」
天音、反撃に出る。
が。
「えぇ。僕がやっても良いんですけど」
良いのかよ。
「でも僕は前世からの兼ね合いで、溢れる男性フェロモンのせいで、どうしても女性役は出来ないんですよ」
何だそれは。
どういう前世を送ったんだ?お前は。
「だから、天音さんが女装して新婦をやり、僕が新郎をやる。これで解決ですよ」
「な、何も解決しないよ」
すると、白けた様子でナジュと天音を眺めていたオレンジ小人が、口を開いた。
とても不満そうに。
「あのさー…。僕、男が女装するところなんて、見たくないんだけど。全然ロマンチックでも何でもないじゃない」
「そこを何とか。大丈夫ですって、天音さんなら、着飾れば絶対美少女になれる…そんな素養を持ってる人です」
「そう言われても僕、全然嬉しくないからね!」
…えーっと。
とりあえず、状況を説明して欲しいんだが…。
誰か、解説頼めないだろうか。
すると。
「あのね、あのオレンジ小人。『喜び』の感情を教えてくれって言って、出てきたんだけど…その条件が…」
「喜びと言えば、何と言っても結婚式でしょ!とか言い出してさ〜。喜びいっぱい、幸せいっぱいの結婚式が見たいんだってさ〜」
令月とすぐりの二人が、解説役を務めてくれた。
成程、そういうことだったのか。
喜びの感情…。その為に結婚式…。
…って、何でそうなるんだよ。
結婚式に限らず、喜びなら色々あるだろ。
「あ、白雪姫だからかな?王子様との結婚は、メルヘンストーリーなら定番だよね」
と、シルナが言った。
あぁ、そういうことか…。
こんな下らないところで、白雪姫要素を出してくるんじゃない。
「ったく惜しいことをしたなぁ。俺が契約済みじゃなかったら、すぐにツキナを呼んでくるところだったのに…」
すぐりが、何やらぼそぼそ呟いているが。
今は、それどころではない。
「大体、性別で区別するのはおかしくないですか?男同士でも、幸せな結婚式を挙げてる人はいますよ」
妙な点でジェンダーフリーなナジュである。
しかし、あくまで古風でメルヘンな展開を望む、白雪姫の小人は。
「そうじゃないんだよなー…。僕か望んでるのは、ちゃんと白いタキシードに白いウェディングドレスで…。大きなウェディングケーキがあって、素敵な教会でウェディングベルを鳴らして…」
注文が多い。
これまでの小人も大概だったが、こいつも相当我儘だぞ。
自分の中で、「理想の結婚式」の型がきっちり決まっている。
その通りに行われないと、こいつは喜びを感じない。小瓶がいっぱいになることはない。
なんて厄介なんだ。


