神殺しのクロノスタシスⅣ

食べ物で釣っても駄目、お金で釣っても、宝石で釣っても駄目。

どうやら手強い相手と見た小人は、逆に令月に尋ねた。

「令月君は何が欲しいの?何をもらったら嬉しいの?何を手に入れたら、彼が嫉妬すると思う?」

すぐりを…嫉妬させるもの…。

そんなものは…。

「さぁ…。僕は何も要らないよ」

無欲の境地。

「困った子だなぁ…。じゃあ良いよ、君の心の中に、直接聞いてみるから」

え?

と、思ったそのとき。

黄色小人の茨が、令月とすぐりの頭に絡みついた。

え、ちょ、おい。

「何やってんだ!?」

「大丈夫、別に殺したりしないよ」

殺したりしないって、そういう問題じゃない。

「ただ、この子達の頭の中に、直接聞いてるだけだよ。君達は何が欲しいのか…。令月君に何を与えれば、すぐり君は令月君に嫉妬するのか…」

そんなことまで出来るのか。この気持ち悪い茨。

ナジュの読心魔法並みに陰湿だ。

「失礼な。僕の読心魔法は清廉潔白ですよ。それはもう清らかな、澄み切った清流のように…」

「うるせぇ」

濁り切った濁流だ、お前の読心魔法は。

それよりも。

「あぁ、そうなんだ、成程。それならそうと、最初から言ってよ」

あの謎茨で、令月とすぐりの頭の中を見た小人は。

例の、ムカつくにやけ顔を見せた。

何だよ。何が分かったって言うんだ。

「令月君。君に良いものをあげる」

「何?」

「はい」

小人は令月に、目に見えない何かを与えた。

…一体、何を与えたんだ?

「何したの?」

「君の欲しいものをあげたんだ」

「僕の欲しいもの?それは何?」

「分かってる癖に。魔導適性だよ」

…!

これには、令月も、俺も驚いた。

魔導適性…って…。