神殺しのクロノスタシスⅣ

…何これ?

「…何これ?」

令月も聞いてる。

「ご馳走だよ。嬉しいでしょ?」

と、何故か得意満面の黄色小人。

ご馳走…ステーキが?いやまぁ、ステーキはご馳走だけども…。

「それじゃ足りないかな?じゃあ…はいっ、はいっ、これも」

ポン、ポン、と。

まるで魔法のように、次々と料理が出てくる。

湯気を立てるシチュー、ハンバーグ、グラタン等々。

…晩餐…?

「さぁ、これは全部君のだよ」

黄色小人が、にこにこと令月にそう言った。

「全部、君が一人で食べて良いんだ。さぁ、遠慮せずに」

「…遠慮って…。何で僕にこんなもの出すの?」

「それは、君が特別だからだよ」

特別?

どういう意味だ?

「それとも…もっと高級な食べ物の方が好きかな?なら…」

ポン、ポン、と料理が出てくる。

今度はキャビア、フォアグラ、トリュフの三大珍味フルコース。

謎に豪華。

しかし、行動が今のところ謎である。

「君は何がしたいの?」

はっきりと尋ねる令月。

「美味しい食べ物をもらったんだよ、君だけね。嬉しいでしょう?」

「悪いけど、僕はこういう…洋食より、和食の方が好き」

我儘か。

しかし、小人は令月のそんな我儘に、むしろ目を輝かせた。

「成程。じゃあ…こういうのはどうかな?」

ポン、ポン、と音を立てて、次々と料理が出てくる。

今度は令月のリクエスト通り、和食だ。

お寿司を筆頭に、お造り、天ぷら、茶碗蒸し、その他凝った懐石料理の数々。

仕事が丁寧だ。

「美味しそうだね」

「そうでしょ?全部君のだから、君が食べて良いんだよ」

「僕は令月だよ」

「令月君。どうぞ、召し上がれ」

自己紹介をするな。

仲良くなるな。

「有り難いけど、でも僕、今そんな気分じゃないんだよね」

令月がそう言うと、

「うん、私もそう思う。そういう懐石料理より、絶対チョコとかケーキとか、お菓子の方が嬉しいよ」

シルナまで、真顔でマジレス。

お前は何を言っているんだよ。

「お菓子の方が良い?じゃあお菓子も用意してあげる」

そう言うなり、令月の前に、様々なお菓子が現れた。