神殺しのクロノスタシスⅣ

「イレース。あのさイレース、もう終わりだって」

「さぁ!さっさと描きなさい!ほら!」

小人の頭をボコボコ殴りながら、スケッチを催促するイレースだが。

もう終わってるって。

「うわぁぁぁ怖い!怖い!怖い!」

小人も、もう取り繕うことも出来ずに喚いてる。

…それなのに。

「恐怖を知りたいんじゃなかったんですか?まだまだこんなものじゃありませんよ。今日の授業は拷問ですが、明日は処刑の授業を行う予定なんですからね。それが終わったら、今度は戦争の授業。ほら!さっさと描く!それと明日までに、今日の授業のレポートを百枚書いて提出!」

まだまだやる気のイレースである。

この調子じゃ、恐怖の小瓶が何本あっても足りない。

この黒服小人も、馬鹿なことをしたもんだよ。

よりにもよって、イレースに恐怖を教えてもらおうなんてさ。

「イレースちゃん…もう終わったから。授業終わりだよ、終わり」

「終わり…?何勝手に終わらせてるんですか!」

逆ギレを起こす始末。

「ともあれこれで…一人目はクリアだな…」

「かなりオーバーキルですけどね」

牛の中にいたナジュが、いつの間にか出てきていた。

令月も同様である。

そして、案の定ナジュは。

「お前…。喉めっちゃ枯れてんぞ」

「え、本当ですか?イケボが台無し」

自分で言うなよ。

まぁ、ともあれ。

何だか物足りなさそうではあるが、イレースが無事、小人の試練をクリア出来て何よりだ。