火をつけて、しばらくすると。
「う…。うぅ…ぐ…ぐぅあ…ひぐっ…ぅ、あぁぎぐえぅ…」
鶏の首を絞めた声、とは多分このことだろう。
牛の口から、くぐもった呻き声が聞こえ始めた。
すげー声出してんな。怖いんだけど。
夜中にこんな声が聞こえてきたら、確実に卒倒するな。
その声に、シルナも天音も青ざめていた。
ついでに小人も死ぬほどビビっているようで、小瓶の中身が凄い勢いで増えている。
そして、拍車をかけるように。
「うぐ…ぐ、ぎぐぇがぐあがぁ、ぐぎ、ぐががぎがごぇぎぎ…」
ナジュの唸り声が、ヤバい感じになってきた。
お前、どっからその声出してんの?
喉傷めてないか心配になる。
「だ…大丈夫なの!?イレースちゃん!」
シルナが、半泣きで叫んだ。
「何がです?」
「だ、だってこのままじゃ…このままじゃナジュ君が死んじゃうよ!」
「別に構いません」
ひでぇ。
「これは拷問なのだから、死ぬギリギリまで追い詰める必要があります。こんなものは序の口。まだまだこれからです」
鬼だ。本物の鬼教官だ。
血も涙もない。
「で、でもこのままだと…!」
天音が、声を上げようとしたが。
「教官は私です。私が全てを決定するんです。異議があるなら…あなたも、体験してみたいですか?」
「い、い、いいえ…」
天音ガクブル。
逆らうな。逆らったら生贄にされるぞ。
それどころか。
「次はアイアン・メイデンの実技です。被験者は…そうですね」
イレースは、舐め回すようにこちらを見て。
「…黒月令月さん。あなたです」
白羽の矢が立ったのは、令月だった。
「僕?何したら良いの」
「アイアン・メイデンの中に入ってもらいます」
「分かった」
そこはもうちょっと躊躇えよ。
令月は、てくてくと教室の前にやって来て、アイアン・メイデンの中にすぽっ、と入った。
両手両足を縛り付けられ、イレースの手によって、観音開きの扉がゆっくりと閉められる。
扉が閉まり、令月の顔が見えなくなったそのとき。
身体にトゲが刺さった令月の、苦しげな叫び声が聞こえてきた。
「う…うがぁぁぁ!い、いぐっ、だ、あああぁ!!」
これまた、どっから声出してんだと思うほどの、痛ましい声である。
「うぎゃぁ“ぁ“ぁ“!助けでぇ“ぇ“ぇ“!!」
と、いう令月の、断末魔の叫びに。
「せっ…イレースせんせー!もうやめてあげてよ!」
「そ、そうだよ!実技なら、もう充分だよ!二人を出してあげて!」
すぐりと天音が、揃って声をあげた。
イレースに慈悲を求めたのである。
しかし。
「いつ助けるのか…そもそも助ける必要があるのか…。それを決めるのは、あなた達ではありません。…この私です」
鬼教官イレースに、慈悲を求めるなど…砂漠のど真ん中で雨を願うのと同じことだった。
「う…。うぅ…ぐ…ぐぅあ…ひぐっ…ぅ、あぁぎぐえぅ…」
鶏の首を絞めた声、とは多分このことだろう。
牛の口から、くぐもった呻き声が聞こえ始めた。
すげー声出してんな。怖いんだけど。
夜中にこんな声が聞こえてきたら、確実に卒倒するな。
その声に、シルナも天音も青ざめていた。
ついでに小人も死ぬほどビビっているようで、小瓶の中身が凄い勢いで増えている。
そして、拍車をかけるように。
「うぐ…ぐ、ぎぐぇがぐあがぁ、ぐぎ、ぐががぎがごぇぎぎ…」
ナジュの唸り声が、ヤバい感じになってきた。
お前、どっからその声出してんの?
喉傷めてないか心配になる。
「だ…大丈夫なの!?イレースちゃん!」
シルナが、半泣きで叫んだ。
「何がです?」
「だ、だってこのままじゃ…このままじゃナジュ君が死んじゃうよ!」
「別に構いません」
ひでぇ。
「これは拷問なのだから、死ぬギリギリまで追い詰める必要があります。こんなものは序の口。まだまだこれからです」
鬼だ。本物の鬼教官だ。
血も涙もない。
「で、でもこのままだと…!」
天音が、声を上げようとしたが。
「教官は私です。私が全てを決定するんです。異議があるなら…あなたも、体験してみたいですか?」
「い、い、いいえ…」
天音ガクブル。
逆らうな。逆らったら生贄にされるぞ。
それどころか。
「次はアイアン・メイデンの実技です。被験者は…そうですね」
イレースは、舐め回すようにこちらを見て。
「…黒月令月さん。あなたです」
白羽の矢が立ったのは、令月だった。
「僕?何したら良いの」
「アイアン・メイデンの中に入ってもらいます」
「分かった」
そこはもうちょっと躊躇えよ。
令月は、てくてくと教室の前にやって来て、アイアン・メイデンの中にすぽっ、と入った。
両手両足を縛り付けられ、イレースの手によって、観音開きの扉がゆっくりと閉められる。
扉が閉まり、令月の顔が見えなくなったそのとき。
身体にトゲが刺さった令月の、苦しげな叫び声が聞こえてきた。
「う…うがぁぁぁ!い、いぐっ、だ、あああぁ!!」
これまた、どっから声出してんだと思うほどの、痛ましい声である。
「うぎゃぁ“ぁ“ぁ“!助けでぇ“ぇ“ぇ“!!」
と、いう令月の、断末魔の叫びに。
「せっ…イレースせんせー!もうやめてあげてよ!」
「そ、そうだよ!実技なら、もう充分だよ!二人を出してあげて!」
すぐりと天音が、揃って声をあげた。
イレースに慈悲を求めたのである。
しかし。
「いつ助けるのか…そもそも助ける必要があるのか…。それを決めるのは、あなた達ではありません。…この私です」
鬼教官イレースに、慈悲を求めるなど…砂漠のど真ん中で雨を願うのと同じことだった。


