「では次、令月さんとすぐりさん」

「はい、何?」

「何でも聞いていーよ」

「拷問の本場、ジャマ王国『アメノミコト』で行われていた拷問について、参考までに話してください」

こえぇよ。

やべぇよ。

そういうことは聞きたくないなー…。『アメノミコト』なんて、拷問のプロフェッショナルじゃないか…。

「うん、分かった」

「お安い御用だね」

「まず、『アメノミコト』で最もポピュラーな拷問は?」

「やっぱり爪剥ぎかな?」

そんなことをポピュラーにするな。

「専用の道具があるんだ。爪を剥ぐ為の」

「ちょっと前に出て、黒板に書いてみなさい」

「分かった」

令月がご指名を受け、教室の前に出た。

チョークを受け取って、さらさらと、黒板に爪剥ぎの道具の図を書き始めた。

手慣れたものだった。

一見すると、それが爪剥ぎの道具だとは思えないが。

「この部分に腕を通して、ここに爪を挟んで…バキッ、とやる」

逐一、そう解説されると…成程、爪剥ぎの道具だとは納得出来る。

こんなえげつない道具が、当たり前のように使われているなんて…。

やっぱり『アメノミコト』怖ぇ。

つーか、それを当たり前のようにスケッチ出来る令月も怖いよ。

「この爪剥ぎ道具で爪を剥がれた人は、どうなりますか?」

「どうもならないよ。凄い悲鳴をあげて、泣いて許しを請うだけ」

それは、「どうもならない」とは言わない。

「爪を剥ぐって、拷問としてはポピュラーだけど、物凄く痛いから。慣れてないと、十枚剥がされるまでに、痛みで失神する」

慣れてなかったらって何だよ。

慣れてたまるか、そんなの。

「失神したらどうしますか?」

「頭から水をぶっかけて意識を取り戻させて、また爪を剥ぐ。それを繰り返す」

グロッ。

「ちなみにその爪剥ぎの後、おまけみたいなものがついてるときもある」

「おまけとは何ですか?」

「爪を剥がされた指に、釘を刺す」

グロッ。

想像しただけで、痛いのなんのって。

シルナなんか、超ぶるぶる震えてる。

「十本の指に、十本の釘を刺したら出来上がり」

そんな料理みたいに言うな。

「成程、よく分かりました。ではすぐりさん」

「何?」

「あなたが知っている拷問について、話してください」

「そーだなー…。『八千代』が爪剥ぎを紹介したから…俺は、水牢を紹介しようかな」

…す…水牢?

これまた、不穏なワードが出てきたぞ。