これには、黒い服の小人は勿論。

何が起こるか大体察していた俺達も、びくっとした。

…やべぇ。

「教師に向かって…その態度は何です?」

イレースの声は、氷点下を下回る冷たさ。

「授業をするって言ってるんですよ。さっさと座りなさい」

「な、何を言っ、」

「口答えをしない!!」

「ぶべっ!」

小人の頬に、ビンタが入る。

あれは痛いわ。

「座れ、と言ってるのが聞こえませんでした?」

「は、はい…」

小人は、キョドりながらも席につく。

自分に何が起きてるのか、分かってない顔だな。

そう、お前は分かってない。

…自分が、誰を相手にしているのかを。

「では授業を始めます。…あ、ギャラリーの皆さんも、席についてください」

ギャラリーとは、俺達のことである。

俺とシルナ、天音、ナジュ、令月とすぐりの六人。

俺達はイレースの指示により、小人と同じく、用意された生徒用の机についた。

正直、冒頭から既に怖いから、「やっぱり帰ります」と言いたかった。

が、さっきの拳骨とビンタを見た後では。

とてもじゃないが、そんなことは言い出せなかった。

見ろ。シルナなんか、既にぷるぷる震えている。

天音も目が泳いでるし。

余裕の表情なのは、ナジュと令月、すぐりの三人だけだ。

こいつらは何で大丈夫なんだよ。

「本日の特別授業は…世界の拷問についてです」

元ラミッドフルスの鬼教官と呼ばれた女、イレース・クローリアの。

世にも恐ろしい授業が、始業のベルを鳴らした。