翌日。

運命のときがやってきた。

「準備は出来たかな〜?」

…昨日見たアレ、全部夢か、見間違いだったら良かったのに。

白い棺桶は未だに健在で、そして棺桶の中に眠っている白雪姫も。その棺桶から出てくる、ムカつくおっさん小人も。

やっぱり夢ではなかった。

しかも、昨日よりムカつき加減が増してる気がする。

黒い服の小人は、にやにやしながら棺桶から出てきた。

待ってましたと言わんばかり。

俺を怖がらせることが出来るならやってみろ、というこの態度。

イレースの言う通り、超クソ生意気。

可愛くないタイプのガキみたいだ。

シルナでさえ、もうちょっと愛嬌というものがあるぞ。

「えぇ、準備は出来ました。…あなたを恐怖のどん底に陥れる準備が」

しかし、イレースは相変わらず、淡々と答える。

少しでもこちらが苛ついている風を見せたら、奴の思う壺だ。

こいつは、こちらを苛立たせることで、冷静な判断を欠こうとしているのだから。

俺が罠に嵌っちゃいかんよな。

戦ってるのは、イレースなのだから。

俺達はイレースを信じて、彼女を見守っていれば良い。

昨日、イレースの準備を手伝ったから、彼女がこれから、何をしようとしているのかは知ってる。

それが途轍もなく恐ろしいものだということも、知っている。

これで恐怖を感じない奴いるの?レベルだからな。

でも、それでも100%信じることは出来ない。

何せ、相手は意味分からん小人だからな…。こちらの常識が通用するかどうか。

しかし、イレースの言う通り、やるしかない。

あとは信じるだけだ。

「では始めましょうか」