「どういうことだ?シルナ」

「イーニシュフェルトの里で研究されていた、魔法道具の一つに…。確かそんなものがあった。『白雪姫と七人の小人』っていう名前で…」

イーニシュフェルトの里で研究されていた、魔法道具の一種…?

…これが?この、謎棺桶が?

「何だそれ…!何作ってんだお前ら!?」

こんなメルヘン道具に、何の価値があるんだ?

有り得ないだろ。もっとまともな研究をしろよ。

「あ、いや、私が作った訳じゃなくて…」

シルナが作った訳ではないのか。

だったら、シルナを責めても仕方がない。

「これは、どういう魔法道具なんだ?」

「私も聞きづてだから、詳しくは分からないんだけど…」

「この際、知ってることは全部言ってくれ」

もう、何が何だか分からないんだよ。

情報を持ってるなら、何でも教えてくれ。

「えぇと…この棺は、『白雪姫と七人の小人』っていう名前で…。蓋を開けると、こんな風に…白雪姫が眠ってる」

この人形のことか?

これ、白雪姫だったんだ。

そういえば、やけにメルヘンなドレス着てるな。

「白雪姫は目を覚ますことがなくって、白雪姫の目を覚まさせるには…」

「僕達が持ってる小瓶を、いっぱいにしなければならないのさ」

棺桶の中から、おっさん小人二号が現れて言った。

今度は黄色だ。キモい。

解説に勝手に参加してくるんじゃねぇよ。不気味だろうが。

「おっさん。その小瓶は何だ?」

こうなったら、小人に直接聞いてみる。

すると、小人は気を悪くしたように、顔をしかめた。

「おっさんだって?僕は小人だよ。変な呼び方はやめて欲しいな」

おっさんの癖に、何我儘言ってんだ。

「そんな口の悪い子は…契約しちゃおうかなぁ」

黄色のおっさんから、にゅるっ、と茨が生えた。

きしょっ。

「羽久、皆も、下手な口利いたら駄目だよ」

シルナが、慌てて警告した。

「何でだ?」

「私の記憶が確かなら…この茨の指輪は…」

と、シルナが説明しようとすると。

「契約の証さ。これを結んだ者は、僕達の感情の小瓶をいっぱいにしなければならない。七日以内にね」

は?

「それが出来なかったら、契約不履行で、契約者は白雪姫の毒で…死んでしまうんだよ」

…はぁぁぁ!?