棺の、中には。
少女が入っていた。
言っておくが、ミイラではない。
肌艶の良い、まるで眠っているだけのように見える少女が。
組んだ両手に、小さな空の小瓶を握ったまま、棺桶の中に横たわっていた。
…。
…誰?
「…えっと…」
これには、一同言葉も見つからない。
かろうじて声を発したのは、令月だった。
きょとんと首を傾げて、一言。
「…学院長の隠れた趣味?」
もしそうだとしたら、俺は今後のシルナとの付き合いを考えさせてもらう。
こんないたいけな少女を、棺桶に入れて愛でる趣味があったなんて。
しかし。
「そっ…そんな訳ないでしょ!?どういう勘違い!?」
良かった。どうやら違うらしい。
「ど、どうなってるの?この子誰?死んでるの!?」
「やけに軽かったはずなんですが…。人間なんですかね?」
「ちょ、と、とりあえず回復魔法を…」
と、咄嗟に杖を取り出したシルナだったが。
いざ回復魔法をかけてみると。
「あ、あれ?通じない…?」
シルナの回復魔法が通じない。
それはつまり…。
「…ちょっと、よく見てください、これ」
イレースが、勇敢にも棺桶の中に手を突っ込み。
少女の腕を握って、ぐいっと持ち上げた。
お、おい大丈夫なのか?
腕を持ち上げられても、少女は目を開けない。
少女の瞼は固く閉じられたままだ。
「見ろって…何を?」
「肩のところ。これ、球体関節じゃないですか」
あ、本当だ。
言われてみれば。
「確かに。膝も球体関節ですよ」
ナジュが、ぺらっとスカートを軽く捲って、膝の部分を確かめていた。
おい。人間相手ではないとはいえ、軽々しく少女のスカートを捲るな。
「無機物なんだからどうでも良いでしょ」
そういう問題ではない。
「ってことは、これ…」
「なーんだ…。ただの人形かぁ」
すぐりが、ちょっと残念そうに言った。
何で残念なんだよ。人間じゃなくて良かったじゃないか。
園芸部の畑から出土した、謎の白い棺桶に入っていたのは。
遺体でもミイラでも骨でもなく、妙に綺麗な少女の人形であった。
…って、こんなこと、ある?
少女が入っていた。
言っておくが、ミイラではない。
肌艶の良い、まるで眠っているだけのように見える少女が。
組んだ両手に、小さな空の小瓶を握ったまま、棺桶の中に横たわっていた。
…。
…誰?
「…えっと…」
これには、一同言葉も見つからない。
かろうじて声を発したのは、令月だった。
きょとんと首を傾げて、一言。
「…学院長の隠れた趣味?」
もしそうだとしたら、俺は今後のシルナとの付き合いを考えさせてもらう。
こんないたいけな少女を、棺桶に入れて愛でる趣味があったなんて。
しかし。
「そっ…そんな訳ないでしょ!?どういう勘違い!?」
良かった。どうやら違うらしい。
「ど、どうなってるの?この子誰?死んでるの!?」
「やけに軽かったはずなんですが…。人間なんですかね?」
「ちょ、と、とりあえず回復魔法を…」
と、咄嗟に杖を取り出したシルナだったが。
いざ回復魔法をかけてみると。
「あ、あれ?通じない…?」
シルナの回復魔法が通じない。
それはつまり…。
「…ちょっと、よく見てください、これ」
イレースが、勇敢にも棺桶の中に手を突っ込み。
少女の腕を握って、ぐいっと持ち上げた。
お、おい大丈夫なのか?
腕を持ち上げられても、少女は目を開けない。
少女の瞼は固く閉じられたままだ。
「見ろって…何を?」
「肩のところ。これ、球体関節じゃないですか」
あ、本当だ。
言われてみれば。
「確かに。膝も球体関節ですよ」
ナジュが、ぺらっとスカートを軽く捲って、膝の部分を確かめていた。
おい。人間相手ではないとはいえ、軽々しく少女のスカートを捲るな。
「無機物なんだからどうでも良いでしょ」
そういう問題ではない。
「ってことは、これ…」
「なーんだ…。ただの人形かぁ」
すぐりが、ちょっと残念そうに言った。
何で残念なんだよ。人間じゃなくて良かったじゃないか。
園芸部の畑から出土した、謎の白い棺桶に入っていたのは。
遺体でもミイラでも骨でもなく、妙に綺麗な少女の人形であった。
…って、こんなこと、ある?


