神殺しのクロノスタシスⅣ

「ナジュせんせー。これ、どっか違うところに埋めてきて良い?」

学院の敷地内なら、何処でも良いんじゃない?

と、思ったが。

「どうなんでしょうね?それ、僕達が勝手に決めて良いことなんでしょうか」

んん?

「だって、ここって元々は、イーニシュフェルトの里があった場所なんでしょう?」

あ、そういえば。

ナジュせんせーに言われて思い出したよ。

「そーいえば、そーだね」

ここって昔は、イーニシュフェルトの里だったんだよね。

つまり、学院長せんせーの生まれ故郷。

そこに棺が埋めてあるってことは…。

「学院長の知り合いの人なのかな?」

「その可能性はあるねー」

知り合いじゃなくても、里の人だったのかも。
 
もしかして、例の族長の棺だったりして。

だとしたら、その上に普通に座ってるナジュせんせーって、めちゃくちゃ罰当たりだよね。

「でも、そんな大昔の棺が、こんなに綺麗な形で残ってるとは…とても…」

「分かりませんよ?イーニシュフェルトの里の技術って、今の技術とは違うらしいですし」

確かに。

まぁ、いずれにしても。

「俺達だけで、勝手に決めるのは不味いかもってことだね」

「そうですね」

「学院長のとこに行って、これどうしたら良いのか聞いてこよう」

と、いうことで。

俺と『八千代』とナジュせんせーは、棺桶を持って、学院長室に行くことにした。

…あ、ツキナは落ち着いてきたので、先に学生寮に戻ってもらった。

ちゃんと、あとは「俺に」任せて安心してね、って言っといたから。へーきへーき。